いつものように、僕が愛するただただ普通にうまいそば屋でこいつを待っていると、浴衣姿のお嬢ちゃんが6人で入ってきて隣のテーブルに座った。べっぴんさんばかりでなかなか行儀もよく、そばをすするのがちょっと小っ恥ずかしかったが、これが江戸っ子でいと気にせずすすっていた。するとお嬢さんたちの頼んだオーダーがテーブルに届く。
「ヤバい、超うまそー」との声が漏れた。それまで清楚な大和撫子さんと思っていたところ、ガックシきた。「ヤバい? 何がヤバいんだ?」と、まさか隣のテーブルから突っ込める僕じゃない。何事もなかったようにすすっていると6人静かに箸を運び始めた。うんうん、言葉遣いはイマイチだけどやっぱりこのお嬢さんたちはお行儀がよい。と、見直していると今度は音がしないことに気がついた。「お譲ちゃん、そばってのはすすっていんだぜ」と突っ込める僕ではないのは先ほど述べた通り。静かにお行儀のよい6人だった。
やがてそば湯が届くとおばちゃんに丁寧に礼を言い、そばのうまさを称える。「超、おいしかったです」と。超…。うーむ。
「ヌードルハラスメント」ってご存知でしょうか?
日本では麺を食べる時、啜って食べるのが一般的ですが外国の方から見るとこの行為がかなり不快に感じるらしいのです。
中には気持ち悪くなって食事が出来ないという人も居るらしく思った以上に深刻な状態になっています。