今も宝物のアナログ盤たちはそのほとんどが20歳頃までに手に入れたものだ。以後、CD時代になるとかつてのワクワクを味わえなくなった。ジャケットサイズが大きな要因であり、加えてガキの頃に比べると捻出がラクになったこともあるだろう。中坊から高校時代は1枚買うことがいちいち清水からのダイビングだった。
そんな頃に僕を助けてくれたのが、御茶ノ水のディスクユニオンと、今も昔と変わらぬままの上野の蓄晃堂だ。両店とも中古盤を武器にしている店で、前者は圧倒的な在庫量、後者は僕好みの品揃えが魅力だった。財布に優しい1,000円前後で、新品で手に入れるものと中古はそのミュージシャンの好きの度合いで分けていた。棚に収まったレコード盤が、新品購入かそうでないかを今でも記憶しているのは清水ダイブだからだな。
先日、新宿のディスクユニオン昭和歌謡館に寄ってみた。『昭和40年男』のプロデューサーとしては新宿に来たらここの空気を吸わねばならぬ(笑)。ジャッケットを眺めているだけで当時の自分に浸れて楽しい。だが、僕はアイドルや国内ミュージシャンにはほぼ投資していないから、テレビ番組とリンクさせる感覚を楽しむだけで買わない(店員さん、ごめんなさい)。そして次に向かうのはソウル/ブルース館だ。ソウルブルースの中古でこの品揃えは、ここ以上を他に知らない。
今回も高校時代に戻って盤を眺めた。棚から1枚1枚引き出すのって儀式みたいで気持ちいいですな。相変わらず安くてありがたく中古のCDを1枚ゲットした。アナログで持っているタイトルを気軽に聞くための購入だから1,000円しないことでスッと手が出たのだ。なんだか、高校時代と変わらぬ感覚で中古をレジへ運んでいる自分がおかしかった。そして黒と赤のおなじみの袋に入った品物を受け取った時は、あの日を鮮やかにフラッシュバックさせてくれた。