最新号は、死をテーマに特集を組んだ意欲作である。よくぞこの難しいテーマに踏み込んだものだと手前味噌ながら編集長を讃えたい。この特集の中でフレディ・マーキューリーについて触れている。
エイズに侵されていることを知った翌日に旅立ったあの流れに、きっと多くの昭和40年男たちが困惑したことだろう。そもそも、エイズについてもまだその正体はわからず、ただ怯えていた程度だった頃だ。
僕はクイーンによって洋楽にハマった。アルバムを買いあさり、『ザ・ゲーム』や『フラッシュ・ゴードン』は予約を入れて発売日に手に入れたほどだ。が、やがて距離を置くようになったのは、華美な音楽よりシンプルで泥臭い音楽へと嗜好が移っていったからだ。若い頃は音楽に対して極端なジャッジをしていたバカ者で、ビートルズを嫌ったりディスコミュージックやポップスを無視したりした。まっ、若気のいたりってヤツで、それはそれで青春時代には必要だったと思うことにしている。
さてクイーン。毛嫌いするほどになったのは高校時代で、持っていたレコードもまったく聴かなくなり、棚の中に刺さったままのものになってしまった。それからずいぶんの時間を経て知ったフレディの死によって、久しぶりに買ったのが『イニュエンドウ』だった。ご存知の通り、フレディ存命時のラストアルバムである。このアルバムがクイーンのひとつの集大成のようになっている。ド頭はまさしくクイーンワールドで、そもそもはセカンドや『オペラ座の夜』をこよなく愛した僕をうならせた。この華美で大仕掛けの世界観が嫌で一時離れたのだが、もうこのころはなんでも受け入れる姿勢になっていたから改めてクイーンを聴き返すようになり、70年代の作品はすべて持っているのにCDでも買い揃えたのだった。
再認識の誘水となった『イニュエンドウ』はすげーアルバムだ。これでもかっというほどの名曲の数々と、ラストナンバー『ショウ・マスト・ゴー・オン』のフレディの歌唱は何度聞いても涙を誘う。鬼気迫ると使うのが陳腐に思えるほどの凄まじいばかりの歌に、フレディは何を託したのだろうといつも考察の旅に出る。没後リリースの『メイド・イン・ヘブン』があるものの、実質この曲がラストナンバーということだ。ファーストの『キープ・ユア・セルフ・アライブ』で幕を開けたクイーン伝説がこうして締めくくられたのだ。生前のラストシングルがこの2曲のカップリングになっているのも意味深すぎる。
鮮やかに命を燃やすこと。それが死に立ち向かっていくことなんだと認識させてくれる。今回の特集は世紀の傑作『イニュエンドウ』を聞きながら読み込むといいかもしれない。
5月に帰国した時は発売日前だったのでまだ最新号が読めていませんが、随分と重いテーマだなぁ・・・と感じていました。観てないから内容何もわかりませんが、個人的にはガッチャマンのコンドルのジョーの最期が「男の理想の生き様」として強烈に記憶に残っています。その後の好きな数字(2)と色(青)を自分に刷り込んだ体験でもありました。(Queenに全然関係ない話ですみません)
僕も2と青は刷り込まれました。ナンバー2な存在に憧れたりも。次元大介とかキースリチャーズです(笑)。