「お客さん、おそば好きなんですね」と、初めて入った店のおばちゃんに声をかけられ見上げた瞬間、「スゲェー、こんな偶然あるんだ」と思わず声にしてしまった。なんのこっちゃ? ご説明しよう。
彼女はオフィスのある浜松町でもっとも多く世話になるそば屋で元気を振りまいていた。2ヶ月ほど前に姿が見えなくなり別のおばちゃんに聞くと、お昼だけでなくもっと長い時間働きたいとのことで辞めたそうだ。「まいどっ」と、明るい声が店内に響き渡っていたのが少々寂しくなった。そしてつい先日、田町のクライアントと打ち合わせがあり、終了後の帰り道でいい顔をしたそば屋を見つけた。遅い昼飯はここでと入店してメニューを覗いていたら、冒頭の言葉をかけられたのだ。つまり、いつもの店のおばちゃんの再就職先を発見したのだ。
さらに時は遡る。カレー南蛮のうまいそば屋がやはり浜松町にあり、スイッチが入るとそこへ行って大盛りをいただいていた。他のメニューはイマイチなのだがカレー南蛮だけは絶品という不思議な店だ。ある日のこと、いつものようにキレンジャーモード全開で行くと閉店の張り紙が貼ってあった。カレー南蛮だけでなく、「まいどっ」と元気な声をかけてくれるおばちゃんが大好きだったのも残念な気持ちに拍車かけた。
整理しよう、カレー南蛮のそば屋から、もっとも世話になるそば屋に移ったもののいなくなり、転職先は極々偶然に入った店だった。元気おばちゃんの就職先に連続して3つ付き合っているのだ。うーむ、これは赤い糸かもしれないと考え込んでしまう。が、年の差が少々気になる昭和40年男で、この糸は結ばないことにする(笑)。