真夜中のバーのカウンターに1人の昭和40年男、つまり僕が佇んでいた。『浅草秘密基地』終了後に、地元で長年クラブを経営する方との会話を楽しんだのだった。ちょうど今日は親父の月命日だから、実家に泊まって線香でもあげようと最終を気にせずに過ごした。クラブDJのリアルな今昔物語を聞け、秘密基地とダブルで楽しい夜となり実家へと千鳥足で帰った。途中、禁断の麺にやはり手を出してしまいちょっぴりブルーな今日だ。
線香をあげて、朝食をとりながらお袋との会話を楽しみ家を出ると初夏の陽気で、なんとも懐かしい気分を味わった。そこに拍車をかけたのがあちこちに掲げられた提灯だ。浅草の三社祭や神田祭だけが東京下町の祭りじゃない。荒川っ子が誇る祭りが天王祭である。
6月の第一週目に開催される天王祭に少年時代の僕は燃えた。土曜の半ドンは、先生の粋なはからいで終礼もそこそこに生徒たちをリリースしてくれた。「みんながんばって担げよ」なんて言われると、日頃は敵対関係にある教師との間がグーンと縮まる。走って家に帰り、ソッコーで昼飯を済ませると手ぬぐい片手に神輿へと走る。自分の場所にそいつを巻けば準備OKで、町内を練り歩き始めるまでの興奮を仲間と一緒に楽しむ。いざ担ぎ始めるとつらいばかりなのだが、高揚感が心と体を包み込み「祭りだ祭りだ祭りだ~」と叫ぶかのように担ぐ。子供の頃にしか神輿に触れていない僕なのにあまりにも強烈な記憶で、心のふるさとなんだと思える。
自分を育ててくれた東町会の手伝いに行きたいところだが、毎年6月第一週にはイベントがぶつかる。今年も兵庫でバイクイベントがあり、僕の祭りへの恩返しは来年以降だ。浅草や神田のような盛り上がりとは異なるが、地域にしっかりと根を張った祭りにぜひ出かけてみてはいかがだろう。由緒正しき素盞雄神社からは買い食いが楽しい商店街のジョイフル三ノ輪が近く、さらに都電荒川線でぶらり旅に出るなんてのもいいですぞ。
都電荒川線は都電荒川線でいいですよねぇ。
「東京さくらトラム」ってなに?(^。^;)
1日乗車券400円で旅に出ましょう。
『東京サクラトラム』より『ちんちん電車』でいいと思います。