タイムスリップを楽しむ昭和40年男。

蛇口なにかがふと目に止まった瞬間に、ガキの頃へとタイムスリップすることがある。そして元気をくれることもあるじゃないか。加齢は悪いことばかりじゃない。むしろいいことの方が多いのさ。練習中は絶対に水を飲んじゃいけない世代の俺たちは、フラフラになりながらスポーツに打ち込んだ。奥に野球グラウンド。そしてオアシスがある。この風景がタイムマシーンに乗せてくれたのだ。

下手くそながら野球に燃えた時期は、将来甲子園に行ってタイガースに就職する夢を見たバカ者だ。そんなあの日、とくに今くらいの時期から夏に向けては、日々気温が上昇しながら夏の試合に備えて練習が激しくなる。しごきからやっと解放されたすがすがしさと夕焼け、そしてこのオアシスがガキをどれだけ癒してくれたか。そしてぬるいのにうまい水を喉にたっぷりと流し込むと、また野球へのやる気がムクムクと大きくなる。さっきまでフラフラだった気持ちと体を明日へと繋げてくれる魔法のハンドルだ。

昨日は昭和遺産なんてことを書いたが、このフォルムはあまり変わっていない現役である。丸い飲み口を口で包み込むバカな友人がいたのも懐かしい。練習が終わって飲む水は、こっちより下についている蛇口の方がガブガブいけて好みだったことも思い出したりして。練習後に取りっこになるオアシスを、後輩に先に飲めと促した日は少しだけ大人になった気分を味わった。なんて、いろんな思い出が一瞬にしてぐわーっとよみがえった。ずっとタンスの奥にしまってもう取り出すことがないかもしれなかった絵の数々がよみがえって、なんだか脳が喜んでいる。

めいっぱい汗をかいてこいつでガブガブ水を飲みたい。できればノックをしこたま受けたいところだが、きっと足は動かず球数はこなせず愕然とすることだろうが、いくつになってもあの日の汗と水のうまさは忘れたくないものだ。

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