【S40News!】日本の航空黎明期の歴史を知る。

中島飛行機自動車メーカー・スバルの前身である中島飛行機創立100周年を記念して、『歴史のなかの中島飛行機』増補改訂版が5月5日に発売された。2002年に刊行された同書に、エンジンの諸元表や中島知久平邸に関する情報などが追加収録されている。

1917年に創業し、陸海軍の軍需をメインに各種の軍用機を開発・生産してきた中島飛行機が、いわゆる大企業と言われる三菱重工や川崎重工と互角にわたり合い、東洋一と言われるまでに急成長した軌跡を振り返る本書は、戦争という負の遺産がもたらした、飛行技術革新の歴史を記したものと言えるかもしれない。空を飛ぶという本来夢のような技術が、戦闘行為を目的に開発・進化していったのは非常に残念なことではある。また、その技術を学んだ欧米諸国との戦争に活用されたのはなんとも皮肉な話でもあるが、今日の航空機・宇宙開発などに受け継がれていることも事実。そうした技術が生まれ育ってきた経緯をあらためて知ることができる貴重な1冊であると言えよう。

遠い昔、軍用機と言われたものが21世紀のこの時代になくなったわけではない。著者の好きな言葉のひとつに「模倣は最大の賛辞である」(アイアコッカ)という言葉があるという。真似されるということはそれだけすぐれた価値のあるものだということだが、これからの時代、平和な世界に向けての開発こそが、どんどん模倣されていってほしいものである。

『歴史のなかの中島飛行機』増補改訂版
2017年5月5日発売
著者:桂木洋二
価格:1,800円(+税)
発行:グランプリ出版

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