青春の日々。

IMG_4762東京都のダウンタウン、荒川区の三ノ輪駅そばにこの楽器店がある。生まれて初めて自分の小遣いで買ったレコード。初めて買ったギター。そして初めて音楽スタジオに入ったのもこの三井屋楽器店だ。先日三ノ輪に行くことがあり、まだあるかなと行ってみたら営業していた。こうした思い出の場所が次々になくなっている昨今で、嬉しい粘りに思わず店内に入った。

昭和50年代の当時はナウでヤングな音楽ショップだったが、今は若者をリードするとは言い難い店内だった。若者がCDを買わなくなって久しいのだから仕方ない。多く並んでいたギターやベースも数本しかなく、ピックなどの小物はおそらくずいぶんと長い時間にわたって動いてないように見える。でもともかく、営業しているだけでも嬉しい。

ここの並びには同じく青春の日々を過ごした書店があったが、こちらは残念ながらなくなっていた。当時では大型書店の部類で、ここで音楽誌を読み漁り知識をつけては三井屋楽器でレコードを物色する時間を過ごした。これは至福の時間だった。物色と言ってもほとんど買うには至らず、得た知識のレコードのジャケットを眺め、帯のコピーを読み込むのを繰り返していた。貪るように音楽と付き合っていた僕のティーンズ時代だ。

多くの汗を流し、アレンジをめぐって激論を交わしたスタジオは閉鎖していた。メンバーチェンジを繰り返しながらも、徹底的に付き合ったメンバーたち一人ひとりが思い出される。その中で最も多くの時間を過ごしたギタリストはもうこの世にいない。あの青春の日々は、昨日のように思えるがやはり遠い過去なのだ。ずいぶんと歳を重ねたもので、いろんな想いを抱えながら懐かしの場所を後にした。

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