愛とか平和を大声で叫ぶ。

ライブエイドしばらく観ていなかったDVDに手が伸びたのは世界混乱とも取れる流れへの危機感からか。平和を軽々しく語るつもりはないが、せめて願うことはできる。きれいごとながら、人はいがみ合うより向き合った方がいい。『LIVE AID』はロックミュージックが持つエネルギーやスピリットが詰まった祭典で、愛と平和へと突き進むことの尊さをわかりやすく世界中に問うた。

このビデオに収められたフェスの引き金は、前年のBAND AIDによる『Do They Know It’s Christmas?』だった。イギリスとアイルランドのミュージシャンたちが結集して歌われたこの曲のビデオを観たときはおおいに震えた。

いったいなにが起こっているんだ。

ジョンの魂は生きている。

ロックミュージックってなんてすばらしいんだ。

と、そんな順に頭を落ち着かせながら涙を流した19歳だった。そして翌年の春にはアメリカでも同じ動きがスタートし、スーパースターたちを集結させて『We Are The World』を世に送り出した。その翌年の夏、20歳になる直前の7月13日に世界中を巻き込んで行なわれた20世紀最大の音楽フェスティバルが『LIVE AID』である。メインとなった会場は英米で当時の再先端を行くルーキーやヒットメーカーから、大御所までもが集結しパフォーマンスを繰り広げた。U2が若い。フレディがまだ生きていた。ニューロマンス系がチャライ(笑)などなど、驚きをたっぷり楽しめるお得なDVDだ。

人が発するエネルギーの連鎖は奇跡を起こす。いや、奇跡でなく本来あたり前のことなのだろう。平和へと向かおうとするむき出しエネルギーを発散する姿を映し出したビデオには、時代を超えてただ感動させられる。1985年、俺たち20歳の夏のことだ。この現象を切り取って、ずいぶん昔のような気がするのは僕だけではないだろう。

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