僕の食に関する悪趣味は、ときおり仲間はずれにされる。今日ご紹介するのは、我が社の近くにある店のうまくないけどうまいランチだ。なんだかちょっと変態が入ってるなあ。
1日20食限定とされた日替わりランチは880円。この日はハムカツと魚のフライ、鳥の味噌焼きでみそ汁が付き、ライスは大盛りが無料で当然ながらお願いした僕だ。
まずハムカツを一口いただくと固い衣がステキだ。サクッでなくゴリッて感じで当然ながらハムは薄めだ。ハムカツほどじゃないけれど白身のフライも固めで、遠慮気味にそえられたタルタルソースがいい。鳥の味噌焼きは文句なしのしつこい味で、ご飯がガンガン進んでしまう。付け合わせのキャベツも千切りと呼ぶにはほど遠く、乱切りとまでは行かないがこれもいい味出してますな。トマト、練りからしも見逃せない場所で主張していて、皿全体が散漫で雑な昭和感が漂う。これは演出なのだ。深い、深すぎる日替わりランチに気絶しそうな僕だった。
雑な昭和こそリアルじゃないか。昭和の演出をしている昨今のナポリタンも、よくよく考えると美しすぎる。もっと雑でなくては昭和でないのだ。こうした美化は昨今いたるところで見かけるが、昭和ってのはまだまだ発展途上でおおざっぱ極まりない時代である。と、そんなリアルを思い出させる食こそが、僕が愛するうまくないけどうまい料理の大きな要素なのだ。どうだ、まいったか。
不親切なガイドといこう。浜松町駅の南口を出て右の階段を降りるのじゃ。健闘を祈る。