BMWといえばクルマを連想する方が多いかもしれないが、大型を中心に幅広いラインナップでバイクを展開する二輪メーカーでもある(一昨日開催されたチャリティモーターサイクルショーでも大きなブースを出展)。そのBMWが同社のツーリングモデルにおける最高峰モデルとして、排気量1,649ccの直列6気筒エンジンを搭載したニューモデル『K1600GTL』を6月10日より発売すると発表した。
同社によると「走行特性、長距離ツーリングへの適性および快適性において、全く新しい次元にあると共に、最大限の俊敏性と運動性能を兼ね備えており、(中略)あらゆる状況下で最高の駆動力を発揮する」と、新たなフラッグシップモデルへの自信をのぞかせている。エンジン重量は102.6kgに抑えられており、同クラスのなかでは群を抜いて軽い。また、横幅が大幅に狭いコンパクトな構造を持っている。これはφ72mmの小径ボアの採用と、シリンダースリーブ間の間隔がわずか5mmしかない設計によるもの。車体全体の軽量構造と相まってパニアケースとトップケースを含む車両重量は355kgと同クラスでも軽量に仕上がっている。
以前より定評のあるトラクションコントロールシステム『DTC』や電子調整式サスペンション『ESA-II』、そしてライドバイワイヤーとなった電子式スロットルコントロールシステム『E-Gas』など、自然な操作感のなかに高度な制御技術が投入されているのも大きな特徴。さらにシンプルなテレスコピック式フロントフォーク全盛の現代において、独自のサスペンションシステムである『デュオレバー』も採用されている。これはテレスコピック式がもつ“加減速時の車体姿勢の変化”というデメリットを補うシステムであり、加減速Gによる姿勢変化を軽減しつつ、それとは別に路面からの衝撃吸収を解決するというものだ。
また、メンテナンス性の高さやパワーロスが少ないことを重視して長年シャフトドライブを採用してきたBMW。本モデルにも採用されているのだが、シャフトドライブ車には特有のトルクリアクションが存在する。そこで、これを解消するリヤサスペンションシステム・パラレバーも合わせて採用。トルクリアクションとは、シャフトドライブの二輪車が加速時に車体リヤスイングアームを押し下げる力が働いたり、逆にブレーキをかけた時にスイングアームを押し上げる力が働くこと。これにより車体後部が上がったり下がったりして車体の姿勢が変化してしまうのだ。しかし、パラレバーでは、このトルクリアクションを起こす力を逃がす仕組みが組み込まれているのである。
とにかく、二輪におけるあらゆる最先端技術が盛り込まれているといっていいBMW・K1600GTL。価格は300万円と高価だが、それに見合うだけの性能はもっていそうだ。
■最高出力:118kW(160ps)/7,750rpm
■最大トルク:175Nm/5,250rpm
■車両重量:355kg(走行可能状態、燃料満タン)
■最高速度:200km/h以上
■価格:300万円