実家に帰ったときにお袋より「あきひろっ、なんか来てたよ」と渡されたのは、高校の同窓会会報だった。「へーっ、もう卒業して30年以上経つのにたいしたもんだ」と開くとトップページはこの会が100周年を迎えて祝賀会が行われるとの記事だった。しかもこれを記念して校歌のCDを制作中とかホームページを刷新したとか、なかなかの活発な様子である。けっこうなヴォリュームの会報で、とくに目を引いたのが現在の我が母校の記事だ。体育祭や遠足が写真入りで掲載されていて、僕にもこんな頃があったのだなとしみじみと見ていると「なんですとー!!」と叫びたくなる記事を見つけた。
軽音楽部があるのだ。皆さんにとってはとくに騒ぎ立てることじゃないかもしれんが、僕には特別な感情と想い出がある。文化祭でロックしたいと、先生たちと大論争したのだ。この高校は近隣が住宅街だからロックみたいにガチャガチャうるさいのはダメなんだと言いやがった。ガチャガチャ呼ばわりとは、温厚な僕もさすがにカッとなり退学覚悟でたてついた。が、交渉は通らず敗退したのだった。あの日のがんばりが足りず、きっと後輩たちは長いことロックできなかっただろう。
だが今、後輩たちは学園ロックしているのだ。記事によると60人が在籍する軽音楽部では15のバンドが組まれていて、火・水の放課後が練習だと紹介している。頑張って練習している後輩たちの姿を思うとうれしくなる。文化祭以外でも定期的にライブがあるとのことで、さぞ楽しいだろうなと笑みが浮かんだ便りだった。