我が家の料理を支える昆布と鰹節の強力コンビで、残念ながらかきたての鰹節は使っておらず袋入りだ。小さな頃、朝のお手伝いといえばみそ汁に使う鰹節かきだった。親父やお袋は今使っている袋詰めのモノのようにきれいにかくが、僕ら兄弟がやるとおがくずのようになってしまう。大人になったらきっとうまくかけるようになるんだなんて思っていたがこの体たらくである。やれやれ。
「あきひろ、かつぶしかいて頂戴」「はーい」と返事するいい子だった(ウソ)。そうそう、昔は“かつおぶし”ではなく“かつぶし”だったなんて、こうして書きながら思い出したりした。“かく”もほとんど使わないなあなんて、思いがけずタイムスリップだ。
さて本日の主役は北方領土より送り込まれた昆布である。ある日スーパーで見かけて歯舞なのに北海道とは大胆なりと購入した。調べてみると北海道の一部を含む地域が歯舞村だったそうで、島をとられてしまった後に根室市に編入された。現在も歯舞地区としてその名は残っていて、漁協組合がありここから出荷された昆布だ。たいした舌でない僕であるが、これまでの人生で最強の昆布で強い出汁は好物の湯豆腐をガッチリと支えてくれている。
日本人でよかったと思う瞬間の裏方に昆布と鰹節の強力コンビがいることは多い。ガキの頃よりいつも親しんできて、おっさんになればなるほどこの存在は大きくなる。興味のあるおっさん諸氏は試してみてはいかがだろう。ぜひっ、湯豆腐でね。