中坊の頃よりの年末行事(!?)で、その年最後のアルバムを選んでじっくりと聴くことにしている。大晦日は『NHK紅白歌合戦』や『年忘れにっぽんの歌』で忙しいから、今日がその日になる。今年は、いや今年もこのアルバムになるだろう。
初めて聴いたのは高校生だった。当時組んでいたバンドのメンバーは、他のヤツらが知らない音を発掘してはレコメンドするのが大好きだった。今考えるとこのおかげで僕の幅はグーンと増し、今に至っても細々と音楽活動ができている糧になっている。
メンバーの1人にレコパルを必ず購入してはエアチェックを繰り返すヤツがいた。仕入れ量が多い分コイツのレコメンドは多く、かついつも新鮮で的確。さらにプレゼン能力に長けていた。バンドは高校時代よりオリジナルをメインにしていたが、コピーもバンドにとって重要な栄養だと考え積極的に取り入れていた。ある日ヤツよりスゲーのがあると持ち込まれたのがこのアルバムで、タイトルチューンの『明日なき暴走/Born To Ran』をコピーしようと提案された。サックスはどうするんだなんて議論は我々にはなかった。面倒くさい音はすべてDX-7を駆使するキーボーディストに丸投げされるのだ。
この曲を始めとして、アルバムの持つパワーは凄まじい。捨て曲なしで展開されていき、迎えるクロージングが『ジャングルランド』という大作で、これが1年を締めくくってくれるのに最適なのだ。かつてFMの音楽番組にレギュラーゲストでしゃべっていたときに、その年最後の放送でこの曲をかけたほど惚れ込んでいる。ブルース・スブリングスティーンといえば『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』という同世代諸氏が多かろうが、それよりずいぶん遡る1975年の『明日なき暴走/Born To Ran』は彼の最高傑作だ。
今宵、僕は『ジャングルランド』で涙を流していることだろう。お付き合いいただける方はぜひ、シンパシーしましょ(笑)。
殺人マシンを駆ってた青春時代。
このアルバムが思い出させてくれます。
いまから思い起こすと命拾いばかりの暴走でした。
そうですね、命拾いばかりを繰り返すガキでした(笑)。