週末の東京ビジネス街はおもしろいほど閑散としている。一昨日の昼に歩いた大手町に普段の喧噪はまったくなく、気持ちよい青空のしたブラブラと冬の街を楽しんだ。だが、朝飯を食っていないことを後悔したほど食事できるところがない。この後に式典への参加予定だったから、昼も抜きかと諦めかけていたところオアシスを発見した。チェーン店さえ見つからない街で突如現れたのは昔ながらの喫茶店だ。パスタのメニューが充実していて「助かった」と入店した。
店内には数組の客がいて、土曜の大手町でなんでここで飯を食っているのかよくよく考えると不思議な感じがしなくもないが、僕同様都会の難民だと思えばいいか。ベテランそうな女性が1人でホールを切り盛りしている。トマトとナスのパスタセットを注文するとすぐにサラダが出てきて、続いてさほど待つことなくこの一皿も出てきた。日頃はこのスピードでビジネスで戦う客たちをさばいているのだろう。パスタはアルデンテとは言わないがモッチリと腰がある。噂(!?)の冷凍麺かな。トマトソースはどうやら自家製でがんばっているようで好感は持てた。うまいまずいはこの際どうでもよい。
ナポリタンかミートソースが食べたかったが、そのラインナップはなく少々ハイカラなメニューばかりである。が、サラダもメインのトマトパスタも目新しさはなく、だったら突っ張らないでナポリタンを置けばいいのになんてよけいなことを考えながら箸、いやフォークを進めた。スポーツ新聞や雑誌が置いてあって喫煙者が多く、テレビもついていて店内の雰囲気はまるで昭和なのだ。
思えば10代の頃はこんな店で過ごすことが多かった。授業をさぼって学校近くの茶店に行けば同級生が必ずいた。そんな思い出がよみがえるのをまさか大手町で味わえるとは、ちょっと得した土曜の午後だった。