昨日は国内のバイクレースの1年を総括する表彰式に出かけてきた。昭和40年男としてはもっとも華やかだった時代のレコード大賞を思い出すような雰囲気だった。会場となった日経ホールには、今年を戦ったレーサーや業界関係者たちがギッシリと集う。粋な計らいは50組100名のファンを抽選で招待することだ。普段はレーシングスーツに身を包んでサーキットで戦う男たちがキチンと正装している姿がなんとも晴れやかである。ここ近年参加している暮れの恒例行事である。
命をかけて戦っている日本のロードレースの最高峰クラス『JSB1000』の年間ランキングは、右から3位の高橋巧選手、2位の津田拓也選手、そして前人未到の5連覇を達成した中須賀克行選手だ。津田さん、高橋さんは僕が主催するイベントでお馴染みのゲストとしてトークショーをご一緒していて、昨日ここで並んでいるのは感激もひとしおだった。市販車をベースにして戦う『JSB1000』で、2人とも来年は待望のニューモデルでのシーズンとなり、絶対王者の6連覇を阻止する戦闘力をまとう。津田選手はすでにニューマシンでのテストを繰り返していて仕上がりが楽しみだ。この表彰式の前日に訪問したスズキの担当者もすばらしいマシンだと胸を張っていた。
今年は震災の影響でたった7戦のシリーズとなった。選手生命の短い彼らの1年をたった7つの勝敗で決めてしまうのには協会に対して反対を続けている僕だが力不足である。が、これからも提言を続けていきたい。彼らレーサーの総意でもあるのだ。そのたった7回(通常は9戦)の仕事のためにトレーニングや研究を繰り返し、テストでマシンを作り込みサーキットで死力を振り絞った結果がこの晴れやかな舞台だ。
僕は毎日のように仕事がある。愚痴ってしまうこともあるバカモノだが、彼らに比べたらなんと幸せなことだろう。何度でも何度でも勝負できるのだと言い聞かせながら会場を後にしたのだった。