「そうか、12年前の今頃、僕はツインリンクもてぎで涙を流していたんだな」と、思わずタイムスリップしたのは先日取材に行ったカワサキのミュージアム『カワサキワールド』でのこと。マシンの紹介パネルに“2004年の日本GPで中野真矢のライディングにより3位入賞。”とあった。先週末、僕は姫路で吠えていたが栃木県ではGPマシンたちが吠えていたのだ。そのなかに残念ながらカワサキのマシンはない。
カワサキとの付き合いがスタートしたのは1994年のことで、当時の担当とは今も付き合いが続いている。12年前の感動の日にツインリンクもてぎでだき合って涙を流し、缶ビールで乾杯したことも鮮やかにフラッシュバックした。そしてまったく同じことを、今年の鈴鹿サーキットでもやっていたのだからありがたい。夏の祭典『鈴鹿8耐』のゴール後のピット前で、合わせて100歳をかる~く超える2人が12年を経てだき合っていた。
中野さんが表彰台に立ったあの日、独占インタビューをさせてもらった。その中野さんともお付き合いが続いているのはこれまたうれしい。12年といえばちょうどひと回りだ。僕は成長したのだろうかなんて考えながら、レースレポート記事が掲載された号を引っ張り出して眺めた。創刊50号の記念号だったのは、偶然ながらめでたいことが重なったのだな。編集後記は“今年もなかった、さまあばけーしょん!!”で締めてある。大切な人たちとの付き合いが変わらず続いているのはすばらしいことながら、仕事に追い回されているのも変わっちゃいないのはいかがなものだろう。
変わらない自分を大切にしながら、変わることを求めないとおっさんはただおっさんになっていく。さてさて、今年の僕の変身ぶりを振り返ると反省の方が多いじゃないか。いや、まだまだ今年も残り時間はたっぷりある。チャレンジングなマシンの数々がそんな気分を連れてきてくれたのだった。