ちょっとわかりづらい写真で恐縮ながら、昔々はよくあったこの現象にずいぶんと久しぶりに出くわした。決して『週刊現代』ではない。高校生の頃、電車で広げたマンガ誌がこんな風に繋がっていて、でも早く読みたいから破いて絵の部分が切れてしまったなんて悔しい経験を思い出した。今回も同じく電車で広げた僕だったが、人生経験というのは成長させてくれるものだ。愛読しているマンガ雑誌の大好きな作品で早く読みたいのに昔のような無茶はしない。帰宅して丁寧にはさみを入れたのだった。
仕事柄雑誌を読む量は多いのに、昔はよくあったこんなトラブルは格段に減った。印刷の質が上がっているのだ。ジャパンクオリティここにありで、世界の印刷物と比べてもダントツに美しく狂いが少ない。編集やレイアウトもひっくるめて高い技術が一冊にギュッと詰まっているじゃないか。これが残念なことに、長年にわたって前年比割れを続けている。必死の努力を続けているものの、この流れを断ち切るのは大変なことだ。
電車に乗る。僕はガバーと雑誌を開く。周囲にそんなヤツはいない。朝の満員電車で新聞を芸術的にたたんで読んでいるヤツもいない。当然のことながらみんな携帯とにらめっこである。ごくたまに小説を広げている女性を見ると惚れる。参考書を広げている若者を見ると日本の未来に期待を込める。バカなおっさんである。
紙が好きだ。ページめくる期待でワクワクする感じが大好きだ。そんなアナログ人間がこの国から消えない限り雑誌づくりを続けていきたい。製本のミスを見つけただけでなんて大げさな男なんだろう。つくづく、バカなおっさんである。