♪ひとり飲む酒~♪で始まる名曲『ヨコハマ・ホンキートンク・ブルース』をご存知だろうか。藤竜也さんが詞を作り歌った名曲で、僕は原田芳雄さんバージョンでこの曲を知った。松田優作さんもいい味だして歌っていて、多くのシンガーがカバーしている名曲だ。僕も10代の頃にアキレス腱が切れるくらい背伸びして歌った。ヘミングウェイ、フローズン・ダイキリ、オリジナルジョーズ、バーボン、ニューグランドホテルなどなどカッチョいい単語が並び、10代のガキに横浜のすばらしさを説いた。これ以前に宇崎竜童さんの『港のヨーコヨコハマヨコスカ』によって憧れは擦り込まれていたところに、この曲や柳ジョージさんによって僕にとっての横浜ブランドが確立した。そしてカッチョいい男は1人で酒を飲むヤツのことを差すのだと、生き方までも教わった。
ところが東京下町育ちの僕は1人で飲んでもどうもカッチョよくキメられない。つい先日もこんな感じである。バーボンでなけりゃ、フローズン・ダイキリでもない。オリジナルジョーズのような洒落たレストランでないのもいうまでもあるまい。ポテトサラダはおっさんの大好物で焼酎はもちろんナポレオンだ。10代の頃に憧れた男はここにはおらず、カッチョ悪いと思い続けたおっさんを真っすぐに演じているじゃないか。男ってのは思い描いた通りの人生なんて送れないものだ。
ただ、どんな街でもどんな時でも1人でのれんをくぐることができるのは、10代の頃のさまざまな経験が大きい。今の若者達に聞くと1人飲みするヤツが信じがたいほど少ない。そもそも呑んべえが減っているのだから仕方なしだろうが、ポテサラ飲みがおっさんの象徴だといえる時代は今しかないのかもしれん。将来のおっさんたちは、せいぜいファミレスのドリアでワインてか。よくよく考えれば『ヨコハマ・ホンキートンク・ブルース』のような渋くてやせ我慢した楽曲が昨今見あたらない。歌は世につれ世は歌につれである。
『ヨコハマ・ホンキートンク・ブルース』・・・ええよねぇ~
それにもまして最近は河島英五の『時代おくれ』がグッとくる。
~男の嘆きはほろ酔いで 酒場の隅に置いていく~
大阪にお越しの際は【ポテサラ呑み】お付き合いさせてくださいな。
ぜひっ、ポテサラ呑みしましょう(笑)。