ちょうど1年前の昨日と今日は、バイク関連の仕事で熊本にいた。奇しくも今日、僕は熊本にいる。しかも一緒にいる人間も同じというのは、偶然を超越しているように思えてならない。
この間に熊本、そして九州は震災による大きな被害が出た。去年の今日、取材を行っていた国際サーキット『オートポリス』にも大きな影響が出てしまい、バイクレースの最高峰クラス『JSB1000』は、プログラムされていた2戦が中止になってしまった。業界の努力で、別の会場での開催を2レース制にすることができたが、レーサーたちにとってはそれでなくとも少ない年間レースがひとつ減った厳しい1年を強いられている。全体の被害から考えれば些末なことかもしれないが、いろんな影響は重なり合っている。
ホンダの熊本製作所にも大きな被害が出た。注目のニューモデルが多くのバックオーダーをかかえたまま止まっていた。が、被災から見事に立ち上がり、今日はその記者会見だったのだ。一時はもっと長引くこともささやかれたから、スタッフや関係者の努力の賜物であろう。会見では地元の方々の協力や思いが復興を早めたことを強く強調していた。「企業は地元のみなさんと共にある。(地元みなさんの)期待が大きな力になった」と、八郷社長は言葉にしたのだった。
そして蒲島熊本県知事よりは、ホンダよりの多くの救援物資や義援金、そしてバイクや四輪の提供に対して、熊本を代表して感謝の気持ちを述べた。さらに震災によって県民に、日常が貴重だと思った。一体感と絆ができた。感謝の気持ちをもつようになったと続けたのだった。
復興はまだまだ道半ばだ。多くの犠牲者たち家族の悲しみは癒えることない。が、一方で確実な一歩もある。今日のホンダと熊本県は復興を発展へと繋げると高らかに宣言した。
人は弱い。が、思いを込めた人々は強い。もちろんそこにはたくさんの涙や苦労があるに違いないが、晴れやかな会見はそれを吹き飛ばすかのごとくハツラツとしていた。