最終電車にて。

嵐に負けず昨日も元気に開催した読者さんの集い『浅草秘密基地』だが、さすがに来場者は寂しく総勢6名の小さな宴で終った。それでも笑いに包まれながら過ごし元気を蓄えた。11時前後になると1人また1人と会計を済ませていく。みなさんを見送ったらマスターと反省会だ…、てのはウソでしばしマスターとの会話を楽しむ。25年以上通っているってのによく話が尽きないもので、しばしば最終電車を逃してしまい歩いて帰れる実家の世話になることもある。だが昨日はどうしても自宅に帰らなければならず、後ろ髪を引かれながら店を出た。

最終電車ってなんだかナルシストになる。「ふーっ」なんてため息をついて、遊び疲れた老若男女たちを眺める。1人ひとりに今日のドラマがあり、もうすぐ1日の幕引きなんだなあなんて考えたりすると、思考が宇宙的に広がっていったりする。中島みゆきさんの名曲『狼になりたい』の世界のように、あんたも頑張って稼ぎなよってなやわらかな気分を味わうのだ。

IMG_3652が、昨日はそんなナルシストに変身できなかった。京浜東北線は遅れ15分の表示があるからいいとして、山手線は1時間近く遅れて平然(!?)としているじゃないか。僕の乗り込んだ京浜東北線も途中駅で連結を待ったりして、遅れは15分どころじゃなくなりずいぶん長い旅になってしまった。乗り合わせた方々も皆一同にヤレヤレといった顔になっていて、きっと僕同様今朝はつらかったことだろう。

こんなことはちょくちょくあるものの、やはり最終電車が好きだ。自分をちっぽけな存在にできる瞬間は、加齢とともに重要度が増している。ガツガツと仕事をこなしていると、ついわがままになったり強さを誇示しようとしたり押しまくったりする。現場では仕方ないことだが、そんなある意味卑しい自分をしばし消し去る。そのひとつが僕にとって都会の最終電車だったりするのだ。昔みたいに深夜の吉野家で呑めたら『狼になりたい』の世界をこよなく愛する僕はちょくちょく世話になり、この年齢では廃人になってしまうかもしれない。これはこれで助かっているのかもしれないな(笑)。

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