いいおっさんなら、馴染みのバーを何軒か持っているものだ。昨日は仕事の大先輩の縄張りに連れて行ってもらった。いい店ですねと言うと、知り合いからの紹介だと謙遜なさる。そんな所作も全部ひっくるめて、男はバーと向き合うのだ。
が、昨今はバーが危機的状況にあるのは、愛好家たちなら肌で感じていることだろう。いい大人になりたくて背伸びする男が激減しているのだ。確かにそっちの方がかしこいかもしれないが、男ってのはピカピカのキザでいなければならないと沢田研二さんに教わった世代としては、そんなかしこさは微塵もいらない。ボギーに少しでも近づきたくて、昭和40年男は1人でバーの扉を開けるのだ。
若い客が激減した。よく知るマスターたちはそう口を揃える。これは僕ら世代がよくない。若者を連れて行かなければイカンのだ。僕がバーの魅力にハマったのは、まだ20代前半のクソガキだったころに上司が銀座の名店に連れて行ってくれたことからだ。どえらく緊張した。アキレス腱が切れるくらい背伸びした。でも少しずつ気分を落ち着かせていくと、すべてが行き届いている大人の世界に惚れ惚れするばかりだった。「バーは男を磨く場所だ」とその方はおっしゃった。そして「いつかここに1人で来られる男になれ」と。残念ながらその店は看板を降ろしてしまったが、強烈なその体験がなかったら僕は今ほどバーを持っていないだろう。
先日は馴染みの店で写真の光景に出くわした。バーのカウンターで仕事するなと言えるわけも無く、あまりにも無粋なこの客と同じ空気を吸いたくなくて早々に引き上げてしまった。「ふっ、俺もまだまだ青いぜ」と会計を済ませ、ずっと会っていない上司を思い出しながら店を出た。あんたの時代はよかったと口ずさみながらだ。
昭和40年男たちよ、後輩をバーへ連れて行き粋ってヤツを教えてやろう。って、なんだかものすごくハードルの高さを感じてしまう昨今ですなあ。
こないだ蒲田のショットバー(が在った場所)を覗いたら
まだやってるようでしたよ(*^-^*)
今度、是非!
ありがとうございます。ぜひピカピカでいきましょう。蒲田ですとスナックもいいね!!