昨日のイベントのためにうかがった酒田は、おっさんをやさしく癒してくれる街だった。たった1泊で帰ってくるのがもったいなくて、後ろ髪を引っ張られながら夕刻の特急列車に飛び乗った。いつかプライベートでのんびりと巡りたい地のリストに加わった。
酒田とは魅力的な地名である(笑)。イベントを通じて知り合った地元の方々は地名のままに酒自慢する。その方々に自信ありと紹介された呑み屋の『庄内藩』は安くてうまくて、地酒を揃えたおっさんにはたまらん店だった。そこでスタッフ一同舌鼓を打ち鳴らした後、カメラマンと2人で地元のスナックに繰り出した。するとこれまた大当たりで、お年は召しているがステキなママさんによるお国自慢を楽しんだ。驚愕だったのは、今年90歳になる爺さんとレディだから歳は聞かなかったが婆さんがデート(夫婦ではないと言われた)していたことだ。会話はほぼ無くて、爺さんが次々と繰り出す歌に聴き入っている姿がカワイイ。婆さんとは会話しないのに東京モンには話かけてくれ、朴訥とした男の魅力にまいってしまった。話の合間に次々と演歌を繰り出すからサブちゃんの『まつり』で応戦した。だが爺さんの力の抜けた自然体の歌の前では、我ながらガキっぽさが鼻に付き、その後は歌と話を聞く若者(!?)に専念したのだった。ずっといたかったが、翌日は仕事ゆえ早々に切り上げた。ほとんど残ってしまったボトルは持って帰ることを促されたが、きっとまた来るからとキープしてもらったのだった。
翌朝はさり気なく庄内の食文化にふれることができた。醤油の実と塩納豆なる料理はこれまで見たことも聞いたこともない食べ物で、米どころらしいご飯のお供だ。どちらも庄内ではあたり前のようにいただくとのことで、思いがけず郷土料理にふれることができたのはうれしい。そして噂には聞いていただしと芋煮は思っていた通りの味だった。芋煮はここ庄内地方と山間部では大きく異なるそうだ。庄内では豚肉を使ってみそ仕立て、山間部では牛肉を使って醤油仕立てとのこと。ホテルだからか醤油仕立てが出てきたが、次回はみそ仕立てをいただくことにしよう。
帰りには酒田駅の土産物店で旬のサクランボを買った。んなもん買ったことが無くその価格帯に少々ビビったが、家人に頼まれていたから仕方なしだ。
藩とはひとつの国と考えられ、その名残は日本全国津々浦々に根強くある。今回も豊かなお国文化がたくさんあることを確信した。極めて短い滞在時間ながら魅力の片鱗が多く見えた旅で、次回来たときには幕末に無敵を誇った庄内藩についてもっと学びたい。そしてスナック巡りを楽しみたいものだ。その日を待っとれ、酒田!!