三谷幸喜さんの『みんなのいえ』に、公開より遅れること約15年を経てやっと触れることができた。いやあ、楽しかった。ふんわりと涙を誘うのもお馴染みの三谷ワールドで、見終わってあったかい気分がしばらく続き、おっさんにはたまらない栄養となった。
彼の世界に初めて触れたのは『やっぱり猫が好き』だった。そんな昭和40年男は多いのではなかろうか。しっとりとしながらも笑えるその世界観に、新しさを感じて強い好感を持ったものの、三谷さんが仕掛けたという意識はなかった。その点が線になったのが後の『王様のレストラン』だ。世界観がしっかりと繋がった。再放送をすべて録画してディスクに落としてあり、たまに酔っぱらって引っ張り出すことがあるほどのジャンキーな僕だ。
以降もステキな作品が次々と送り込まれてくる。あまり好評だったとは思えないが、浜ちゃんが竜馬を演じたコメディ『竜馬におまかせ!』も、すでにそのマジックのジャンキーになっている僕はしっかりと受け止めた。『THE 有頂天ホテル』は暮れには必ず観る。そうせねば新しい年を迎えられない。大河の『新選組!』もかぶりついて観たが、確か視聴率はふるわなかったと記憶している。そして、勇気を持って言う。僕にとって『王様のレストラン』と双璧をなす最高傑作は『ザ・マジックアワー』だ。もう8年前になるのですな。こうした作品を羅列するだけでいかに自分が歳を重ねたかと驚かされる。
今回触れることができた『みんなのいえ』はその後に続く映画作品の『THE 有頂天ホテル』『ザ・マジックアワー』ほど華美でなく、しっとりと迫ってくるのがまたよかった。田中邦衛さんの演技は涙を誘う。そこに若くて超色男の唐沢寿明さんがバッチリと張り合う。そして彼らを押しのけて主人公と言っていい “墨つぼ” は、同じ長屋に住んでいた大工のおっちゃんが大切にしていたのを思い出させてくれ、幼少の自分に会えたのだった。
さて、今夜は最新の三谷作品を楽しむ。これまた三谷ワールドが炸裂しまくっている『真田丸』だ。彼の紡ぐテレビやスクリーンを観られる時代に、リアルタイムで生きていてよかったとそんな感謝の気持を抱いている僕だが、『真田丸』を見ながら女房は言う。「これで大丈夫なの? 大河ファンに叱られないの?」と。彼女も三谷さんジャンキーだから心配でならないのだ (笑) 。
田中邦衛さん、最近はお元気でいるのでしょうかね~? 娘さんは、たまに視ますが。NHKのワシントン支局長ですもんね。お父さんに似てますね。口は違いますが。w
復活の日は少々遠いようですね。