吉田美和さんファンのみなさまには申し訳ないタイトルですな、お許しくだされ。なんてったって今日は、若乃花関以来となる日本人横綱が誕生するか否かの重要な金曜日だ。万年大関がせいぜいかなと諦めさせられていた稀勢の里関に、低い可能性ながら今場所は昇進のチャンスがめぐっている。すぐ文句ばかり言う白鵬関に何も言わせないためには、全勝優勝してほしい。その大きな壁との直接対決がついに今夜だ。近いようであまりにも遠い横綱の称号が、これまででもっとも近いところにある。さあ今宵はみなさんテレビにかじりついて…って、平日の夕方にそんなことできる昭和40年男はほとんどいないだろう。僕も仕事の合間に携帯で確認するのが精一杯である。
横綱が横綱らしく戦ってくれることを祈る。近年だんだんひどくなっているのはご周知のとおりで、勝負相撲になっていることを僕は憂いている。例えば柔道は、国際競技として発展する一方で武道の精神は遠のいて“道”を語ることができなくなってしまった。これと同じく、昨今の横綱たちによる勝利至上主義の相撲には辟易とする。今朝の情報バラエティで見たが、昨日の取組もひどいもんだ。先日もこのブログで書いた、白鵬関は天才的な勝負勘の持ち主だから、その勘が横綱精神を乗り越えて勝ちを取りにいく動きをしていると弁護はできる。が、ならば横綱としての精神が乗り越えられないような修行をしてほしいと願ってしまう。たくさん滝に打たれればいい。もしくはレインボーマンのようにインドの山奥で修行するがいい(笑)。もちろん凡人には思いも及ばない修行を積んでいることだろうが、その凡人をもってしてつらいと思う取組が多すぎるのだ。外国人力士たちを含めてお相撲さん(なんかこの言い方いいな)は「相撲道」とよく口にするが、残念ながら“道”を感じさせる力士は減少傾向だ。星を取りたい気持ちとの強い葛藤があるのはわかるが、それをもっとも凌駕してなお強い者が君臨するのが、本来横綱なのではないか。
立ち合いから素早く自分の得意な磁場へと引っ張り込む、強い白鵬関の相撲は惚れ惚れする。そんな相撲で今日稀勢の里関が敗れ、横綱昇進のチャンスが来場所に伸びても仕方無しだが、立ち合いで張ったり変わったりのつまらない相撲だったら僕はもう相撲と決別する…って、それは無理だな。だってやっぱり好きなんだもの。
両者真っすぐにぶちあたって死力の限りを尽くしてほしい。横綱相撲を目指す大関と、強い横綱との世紀の一番を期待するのはファンだからだ。相撲好きの昭和40年男一同より、その愛を込めて祈る。