今年も友人より竹の子が届いた。5人家族の彼は、ゴールデンウィークを利用して女房方の実家で家族総出の竹の子掘りを楽しむ。それが箱に詰められて送ってもらえるのは、この時期の我が家の楽しみにもなっている。「ウヒャー、今年もたくさん送ってくれた」と、女房は届くなりチャリンコを飛ばしてご近所に配る。帰ってくると慌ただしく仕込みだ。掘ってからの時間が経てば経つほど味は落ちる。1日経ているのだからすでに落ちているじゃねえかと突っ込むほど野暮な俺じゃない。無駄なようにも見える彼女の焦りを毎年のように見守りながら、なにも手助けしない(笑)。
届いた直後はこの3品が食卓に並ぶのも恒例になっている。上から刺し身、煮物、そして炊き込みご飯だ。これらはやわらかないいところを使うから届いた直後にこしらえてくれ、この後は青椒肉絲、麻婆豆腐なんかの中華ものやその他創作料理なんかに使われ、今月いっぱいは何日かごとに食卓を彩ってくれる。
スーパーで売っているものや、ましてや水煮なんかよりずっとえぐ味が強い。そんな野趣あふれる竹の子こそがおっさんにはうれしい。ガキにはえぐ味のよさはわからないだろうが、おっさんになるとなぜかコイツがたまらない。
春の到来に合わせるようにふきのとうをいただき、この竹の子をいただくとすぐに夏がやって来る。そんな季節の移ろいまでも運んでくれる自然の恵みとは、なんともありがたいことよ。
人生の年輪てのがいろんなことに気付かせてくれる。まだまだ俺たち50歳。一瞬一瞬を大切にしていれば、世の中の深さを知ることは加速していくだろう。食もそう、キチンと向かい合えばステキなことをいろいろ教えてくれるはずだ。