東京下町の谷中、根津、千駄木をくくって谷根千(やねせん)とはうまく命名したものだ。僕の育った荒川区からは近いエリアで、高校時代よりバイトしていた上野も隣町だったからなじみ深い。が、天の邪鬼のバカたれの僕だから、昨今のあまりのフィーバーぶりに足が遠のいていた。
先日上野に行く用事があり、何年かぶりに散策してみてまさにタイムスリップを味わった。子供の頃に訪れた場所や、この看板のような昭和情緒あふれる装飾や建物に心が躍る。古い民家を改装してナウでヤングな小物屋を展開していたり、昭和風のナポリタンをメニューに入れた喫茶店だったり、随所に工夫が見ることのできる、ただの懐古に終らないショップを多く見かけた。人気タウンなのは、こうした努力の数々によるところが大きいだろう。加えてリアルに残っている重厚な建物が効いていて、さらに昭和そのまんまの商店も多くあり実にいいバランスなのだ。のんびり気分を味わうのにピッタリの街だった。
多くの観光地がそうであるように外人さんが多い。だが彼らにこのよさがわかるのかというのは少々疑問である。京都や鎌倉の歴史ある街並や、渋谷や原宿のようなヤングタウンを見ていただくなら胸を張れる。が、ここはおっさんが幼少に浸るのがよさであり、昭和を知っているからこそ楽しめるのではないか。あまり自信を持ってオススメできないなと、あふれかえった外人さんになんだか申し訳ない気持ちになってしまった。
ともかく昭和40年男は存分に楽しんだ。そしてビックプランが浮かんだのだ。僕の育った荒川区界隈の、三ノ輪、三河島、町屋をくくって三三町として売り出す。読み方は“みみちょう”だ!! なんだか賑わいそうじやないか(笑)。