雑誌の読み物で、去年の10月にロッド・スチュワートが新譜をリリースしていたことを今さら知った(恥)。ここ近年は新作を追いかけていなかったが、このジャケ写を見て久しぶりにあのしゃがれ声にふれようと思っている。
僕ら世代にとってロッドは『アイム・セクシー』で出会ったポップスターといった印象が強いだろう。先日亡くなったデヴィッド・ボウイの『レッツ・ダンス』しかり、クイーンがシンセサイザーを使ったり、キッスがディスコサウンドを取り入れたり、ビックネームのミュージシャンたちの理解しがたい変身を目撃し続けた。挙げていったらきりがないほどで、70年代の後半から80年代の前半は洋楽シーンが大変なことになっていたのだ。そこに勢いのある若手が入り混じり、シーンはまさに百花繚乱時代で、その頃に中坊から高校生になった自分を幸せに思う。
『アイム・セクシー』でそのアイドルっぷりを目撃した僕は、当然のように虜になり、これまた当然のごとくアルバムを購入した。クイーンを立て続けに2枚購入した後の、僕にとっては人生3枚目にあたるアルバムが『スーパースターはブロンドがお好き(いいね、邦題)』だった。ワクワクしながら針を落として聴いた僕は強い違和感を感じた。『アイム・セクシー』っぽい曲が見あたらず、ロックンロールゴリゴリの曲が多くて、それらを理解できないお子ちゃまだったのだ。だがそこは音楽ジャンキーで、過去作品を掘っていきだんだんとわかった時は高校2年生になっていた。フェイセズや『セイリング』をリリースする前のソロ作品のロッドにたどり着いたのだ。
するとバカなガキは『スーパースターはブロンドがお好き』以降の作品を否定する。当時のそんなバカっぷりは今じゃ赤面ものなのだが、持論を振りかざして仲間と激論を交わしたことは、それもまた悪くない経験だ。否定した時を超えて、ロッドのすべてを飲み込めるようになったのはこれよりまた数年後のことだった。
最新作は70歳のリリースだった。ここまでずっと歌い続けてきた年輪を感じるのにじっくりと聴き、そして『スーパースターはブロンドがお好き』をアナログ盤で楽しむなんて贅沢な時間を味わうことにする。春の繁忙期後の楽しみができた。