「なんかよお、背中を蹴り続けられたみたいだったよな」「そうだな」
映画館のトイレでの男同士の会話に思わず苦笑した僕だ。そう、やっと『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を観に行ってきた。『昭和40年男』のライティングでも活躍してくれているライターの葉月も「ポコポコされて集中できない」と言っていた。だがどうせ見るのなら最新の技術を体感したいとMX4Dでの上映を選択したのだった。
スターウォーズの音楽を生演奏するイベントに出かけて初めてその世界観に惚れ込み、このDVDセットを購入した。初上映からずいぶんと遅れて『スター・ウォーズ』の素晴らしさを知った僕だが、映画館のでかいスクリーンで観賞したことがない。50歳にしてその本来の表現であるスクリーンで観る日が来て、ワクワクしながら上映を待った。
専用のメガネをかけ、荷物が床に置けないからとコインロッカーに預ける。ソファーのような座席の具合はよろしく、前の席との間隔が広い。こんなに快適になったのだな。小さい頃に『日本沈没』を見たときのションベン臭い映画館とは大違いだ。
いよいよ始まると僕は宇宙を飛んだ。技術とは凄いことなんだなと嬉しくなる。椅子が画像に合わせて揺れ、風が頬にあたり、香りまでする。これ以外にもビックリする場面が多くあったが、ポコポコされるのだけはちょっとうっとうしいなと感じた。葉月さんのセリフを何度も思い出してしまい、余計に気になってしまった。まっ、それでも十分に満足できた観賞だった。
ハン・ソロのカッチョよさに、男の加齢ってのは悪いばかりじゃないなんて、あまりにもかけ離れた僕にそう思わせるほどホレボレさせられた。が、鏡をのぞき込んではため息をつく夜になった。