カレー丼の誘惑に勝てない昭和40年男。

カレー丼つい先日、築地で打ち合わせがあり、近くにあった街のそば屋の代表選手のような面構えの店に入った。店内も「ああ、これこれ」とうれしくなる“街そば屋”っぷりだ。パイプ椅子でいい。少々やれていてもいい。だが、おばちゃんはちゃきちゃきしていて、大きな声でオーダーを通す。すると奥の旦那から元気な返事が帰ってくる。うまいまずいの前に、これが整っていればその店に入ったことが満足できるほどの、街そば屋ジャンキーだ。

寒かった日だから汁そばにしようと入店した。「今日はたぬきだろうな」とほぼ決めて座った僕に魔の誘惑だ。そう、カレー丼である。カレー南蛮もしょっちゅういただくが、そば屋の2大カレーメニュー対決に僕が軍配を上げるのはカレー丼だ。コイツを見つけるとちょいと以前まではもりとダブルで頼んでいた。そば屋なのにそばを食わないわけにいかない。でも好物のカレー丼があるのに無視できない。お得なセットがあればその方がもちろんよい。最近はダイエットを頑張っていて、セットやましてダブルはひかえている。僕が通う浜松町の2軒のそば屋はカレー丼をラインナップしていなくて助かっているのだがここはまずかった。

ここのセットは少々控え目なたぬきだった。築地らしい(!?)濃いめの出汁がグッド
ここのセットは少々控え目なたぬきだった。築地らしい(!?)濃いめの出汁がグッド

細かい話で恐縮だが、カレーライスセットはまだ我慢できる。カレー丼が僕にとってとにかく悪いヤツなのだ。そば屋のカレー丼とカレーライスは摩訶不思議ワールドである。カレーライスと名乗っているのに出汁がほんのり入っていて、でも皿に盛られて出てきたりするとこれはカレーライスだ。丼に近い味だが、出汁が少なめのによく出くわす。詳しい割合なんかわからないが、カレー丼は出汁はほんのりでなくてガツン。そしてやはりサラじゃダメだ。福神漬けなんか乗せなくともよい。カレー南蛮の出汁よりはちょっと硬いくらいがいい。なんだか熱くなっている僕がバカみたいだが、そんな理想のカレー丼に出会うと狂喜乱舞する。

たぬきから変更してカレー丼セットをオーダーしたのは言うまでもあるまい。そばは予定通り温かいのにしてもらった。「フッ、俺の目に狂いはなかったぜ」とニヒルなセリフとは裏腹に、熱くさせられたカレー丼だった。だがまずい、ここを知ってしまったのは実にまずい。月に2回ほどの打ち合わせが繰り返される場所のすぐそばなのだ。ダイエットに黄色信号である。カレーがゆえか(笑)。

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