今回の最新号を手にとって「おや?」と思いませんでしたか? どっちが表紙なんだろう…みたいな。
タイトルをよーく見比べてみると「昭和」が「神化」になってる…!? これは、昨年10月から12月にかけてTOKYOMXをはじめとする各局で放送されていたアニメ『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』とのコラボレーションによるもの。「神化」とは同作における架空の年号です。
なぜ『昭和40年男』に最新テレビアニメのコラボが?と首を傾げる人もいるかもしれませんが、本誌読者ならまずは騙されたと思って観てみることをオススメします(現在、全話無料視聴可能)。きっとこの世代ならではの楽しみ方に気がつけることでしょう。
作品の舞台は神化40年代という架空の年代に発展する戦後20余年のもうひとつの日本。現実の日本との違いは、超人と人間が共存する社会であるということで、そこでは公然と活動して世間から人気を集める超人もいれば、素性を隠しながら密かに戦う超人もいて、彼らに対抗する勢力や組織も暗躍しています。そして時の政府は、社会の秩序確保のために厚生省の外郭団体「超過人口審議研究所」、通称「超人課」を設立。”超人”を発見・確保し、保護し、安全に管理することを目的とするこの超人課を中心に繰り広げられるドラマを描くのが”コンレボ”こと本作となっています。
本作の何がひっかかるって、作品内に登場する数々の超人たちです。昭和40年男ならば、きっとどこかで見たことがあるような、不思議な感覚を憶えるはず。それは、単純に彼らの外見がそうだというわけではありません。登場の仕方、誕生の背景、持っている能力…など、はっきりと同一なわけではないけれども、記憶の奥底に眠るテレビの記憶とつながるような感覚が観る者を包みます。しかも、この不思議な既視感は、単独ではありません。複数の何かがひとりの超人の中に存在しているような感じで、そんな超人が次から次へと登場しては、見る者の記憶を揺さぶります。しかも、そうした超人たちが同じ世界観のなかで共存しています。また、物語のなかで起こる事件や時代背景も、昭和40年男たちが体験してきた記憶とリンクしています。特に、公害やオイルショック、学生運動に象徴されるような、当時の暗い世相が描写されていて、サイケな雰囲気に描かれた町並みとくっきりしたコントラストをみせています。
つまり、本作は「ああ、これはきっとあのことじゃないかな」と匂わせる”仕掛け”が各所に練りこまれていて、それが壮大で絶妙な世界観をつくりあげているのです。もちろん、その記憶がない若い世代にも楽しめるストーリーなのは大前提でありながら、随所にみられる”仕掛け”に思わずニヤリとせずにはいられないアニメになっています。これは昭和40年男ならではの楽しみ方でしょう。
なぜこのような作品になったのでしょう? それは作り手がずばり昭和40年男だから。脚本の會川昇氏、監督の水島精二氏のいずれも昭和40年男(水島氏は41年1月生まれながら、本誌では同学年ということで昭和40年男としています)で、彼ら二人の体験や想い出、リスペクトが作品内に飛び交っているのです。『昭和40年男』最新号では、W表紙だけでなく、この『コンレボ』の魅力を會川・水島両氏にインタビューしています。アニメは数十年観てないという本誌読者でもきっと楽しめる本作、ぜひこの機会に視聴することをおすすめします。しかも、この4月から第二期の放送が決定しているとのことで、今後の展開も楽しみです。
というわけで、タメ年の手による話題アニメの記事も掲載中の『昭和40年男』最新号は、全国の書店・コンビニで絶賛発売中です。ぜひ手にとって確かめてみて下さい。
タイガーの記事はプロレス雑誌以上に充実した内容で感動しました。ただ気になったのが63ページのブレットハート戦のフィニッシュはジャーマンではなくダブルアームスープレックスからの体固めではなかったでしょうか?