昨日、とあるフリーのエディター・ライターの方(昭和38年男)とお会いして、いろいろなお話を聞く機会がありました。彼は某大手出版社でいわゆる”雑誌の時代”を編集者として生きてきた経験を持ち、いろんな分野の大御所たちとも多くの時間を過ごされたとのこと。本誌を実によく観察されていて、作り手としてわかっていること、気がついていないことを含めて、さすが!と言いたくなるような指摘をいくつか受けました。フットワーク軽くあちこちに広くアンテナを張り、面白いと感じたことはそのエッセンスは何なのかを掘り下げていくという、業界の先輩の視座に大きな刺激を受けましたね。
そのなかで印象的だった話題を一つ紹介すると、本誌でよく取り上げているようなサブカル的な物事と、歴史や民俗学などのアカデミックな世界との関係性についての話題で、佐倉にある国立歴史民俗博物館がおもしろいよ、というところから発展した話でした。そのなかで、過去の出来事という大きなくくりで言えば、昭和40年男たちが経験してきた物事も歴史の一部であり、学術的な側面からどんな影響を与えたのかということを調査して論じるという行為は、たとえば江戸時代の研究と、ある面で似ているということに今さらながら気が付きました。なぜ歴史を学ぶのかということと、昭和40年男がやろうとしている(あえてそう表現したいと思います)ことというのは、取り上げる時代の新旧が異なるだけで近いところがあるのではないかと。人間のルーツを探るのが歴史ならば、昭和40年男のルーツを探るのが本誌であるという思いを新たにできた話題でした。
というわけでえらく長い前置きになりましたが、ただ懐かしいというだけに終わらない、本誌最新号の紹介です。いよいよ発売の明日1月9日が明日に迫ってきました。ぜひ入手して週末は暮れから正月にかけての疲れを癒しつつのんびりと本誌を楽しんでもらえたらと思います。今日紹介するのは巻頭特集のこの記事!
そう、アニメ版『タイガーマスク』の脚本を担当した辻真先氏のインタビュー記事です。おそらく、多くの昭和40年男たちの最初のタイガーマスク体験は、再放送のアニメ版だと思われます。なぜなら初回放送は1969年とまだ幼く、観ていたとしてもその記憶は定かではないと想像されるからです。その後、何度かの再放送(少なくとも関東圏で3回放送されたことを確認しています)を経て、1980年に『タイガーマスク2世』が始まるわけですが、やはりアニメ版では再放送のこちらが思い入れあるのではないでしょうか。あの劇画タッチは、辻なおき氏によるマンガ版とは大きく異なる上、ストーリーや登場レスラーなども変わっていて、まさに別物。あの独特の世界観はやはりアニメ版ならではです。
そんなアニメ版のストーリーの多くを手がけたのが辻真先氏なのです。なんと御年83歳で現役脚本家というから驚かされます。だって、今回紹介している最新アニメ『コンクリート・レボルティオ』でもシナリオライターとして参加しているのです。そしてもっと驚かされるのがその頭脳明晰さ。もう40年以上も昔のことにも関わらず、当時の想い出がスラスラと出てくることに、取材陣一同びっくり。それだけ想い出深い作品ともいえますが、とはいえ当時手がけていた膨大な作品数を考えれば、よく覚えていられるものです。
インタビューのなかで、タイガーマスクを書く上で困ったこととして、アニメのストーリーが原作を追い越してしまったことをあげています。「それで仕方なくこちらで勝手に考えて書いちゃったりしまして。梶原さんにはごめんなさいですが、それはそれで作っている間は楽しかったですね」とのこと。実際リング外でのオリジナルエピソードを盛り込むことで、キャラクター像がより明確になり、リング内での戦いへの没入感もかなり高まっているのは異論のないところでしょう。『鉄腕アトム』、『オバケのQ太郎』、『サイボーグ009』、『巨人の星』、『デビルマン』などなど昭和40年男たちもお馴染みの作品を数えきれないほど手がけてきた辻真先氏が描く数珠のストーリーが、本作をより魅力的なものにし、昭和40年男を夢中にさせたといえます。
そんなわけで、辻真先氏のインタビューが読める『昭和40年男』 最新号は明日1月9日発売!
とても興味がわく特集でした。
辻なおき先生のエピソードがもっと知りたいです。
歴博、まじめに鑑賞すると1日でも足りないくらい盛りだくさんですよ。
>> 忍の後輩 さん
ぜひ行ってみたいと思います。かなり楽しみです。
「タイガーマスク運動」なるランドセルプレゼントの話題が最近は少なくなったような気がする。
クリスマスや新年のニュースで一大ムーヴメントを巻き起こした現象であった。デフレ解消のせいであろうか?それとも飽きられたのか?
アニメ・タイガーマスクのエンディングテーマ曲を聴くと涙が出る世代。今の若者にはわからないでしょうね?
>> レオ貴 さん
確かに話題にあがることは少なくなったかもしれませんね。ただこんな報道やこんな報道もあって、根付いている感じがします。タイガーマスク基金というのもありますしね。