【三越伊勢丹】初売りを遅らせる勇気。

【三越伊勢丹】初売りを遅らせる勇気
初売りとなった3日、多くの人が伊勢丹新宿本店を訪れていました

新年の福袋やセールを楽しみにしている方は多いでしょうし、その期待に応えるべく、近年は元日から営業するお店が増えています。しかし2016年、この流れに一石を投じる百貨店が現れました。最大手の三越伊勢丹ホールディングスが、伊勢丹新宿本店や銀座三越など首都圏8店舗で元日と2日を休業し、初売りを3日に設定したのです。2日を休業日にすることで、売り上げは数億円規模で落ちるとする試算があるにもかかわらず、初売りを遅らせたのはなぜでしょうか。

その答えは12月上旬、短文投稿サイト「ツイッター」にアップされたある投稿にあります。「百貨店にとって稼ぎ時の2日に休業されるということは、売上増よりも我々テナント社員の労働環境改善を重視して頂いたものと感謝致します」。この三越や伊勢丹などに出店する洋菓子店のつぶやきが拡散し、今回の初売りがクローズアップされました。

つまり、目先の売り上げよりワークライフバランス(仕事と生活の調和)を重視した末の対応であり、ネット上でも「正月くらいゆっくりしなよ」という声が優勢です。確かに我々が子供の頃は三が日に空いている店などほとんどありませんでした。近所の書店やゲームセンターぐらいだったでしょうか。だからと言って、困ったことはありませんでした。

報道によりますと、三越伊勢丹ホールディングスの担当者は今回の件について、「従業員の負担を軽減し、接客の質の向上を図ることが目的」と、先に記したツイッターと同じ趣旨の説明をしていました。無理な労働は従業員の体力的、精神的余裕をなくし、サービス低下を招くとした上で「初売りを通じて、正月の伝統習慣を見直すきっかけづくりや、家族とのだんらんを提案するのも百貨店の役割」とも話していたそうです。

いずれにせよ、ワークライフバランスは時代の流れですが、そのニュートレンドが日本の伝統回帰につながるというのも興味深いサイクルです。昭和40年男は、静かに過ごす古き良き日本のライフスタイルも、年中無休のいけいけドンドンも経験していますから、うまくバランスを取ることはお手の物。2016年も公私両面でうまくやっていきましょう。

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