出張先では思いがけず地域に根づいた文化に触れられることがあり、そんなときは仕事とはいえ旅気分を味わえる。先月出張で和歌山に行った時のことだ。イベントが終了してスタッフと打ち上げた後「さあ、お楽しみの和歌山ラーメンに行こう」と、渋い店ののれんをくぐった。するとテーブルの上にサバ寿司がドーンと置いてあるじゃないか。たまたまこのときに同行したスタッフが和歌山出身だったので説明を受けた。和歌山ラーメン店はほとんどと言っていいほどコイツが置いてあるとのことだった。
濃い醤油とんこつラーメンをいただく前にさっぱりとサバ寿司を頬張る。僕が行った店ではおでんやどてやきといったつまみも充実していて、想定外の二次会になってしまった。周囲でも呑みを楽しんでいる客がけっこういた。そしてこれまたおもしろいのは、サイドメニューが充実しているのに餃子とチャーハンはメニューにない。これも和歌山では多いらしく、マストアイテムはとにかくサバ寿司だとのことだった。そしてここでは会計時にサバ寿司を何個食べたか聞かれて申告することになっていた。
このバカな写真は、和歌山ナイトをたっぷりと楽しんだ帰りの、新しい恋人とのツーショットだ(笑)。11月の上旬だってのにライトアップしていて、2人をやさしく包み込むゴンドラが設置されていた。きっと多くの恋人たちがこうして写真を獲ったことだろう。って、サバ寿司や和歌山ラーメンの写真を獲り忘れたから苦肉の採用である。
日本全国津々浦々、それぞれにその地だけの習慣がある。そうした文化に触れることは大きな肥やしだ。そしてもっとも旅の醍醐味が感じられるのが人との出会いで、できれば地方言葉が聞きたい。東京もんだと名乗ると隠す方が多いが、ぜひガツンとかましてほしいといつも思う。そうして交わす会話は大きな喜びであり、一期一会を強く胸に刻む。おっさんとしてはそんな風に旅を充実させて、人生を豊かにしていきたいものだ。