日本スポーツ振興センター(JSC)は14日、新国立競技場整備事業に関する技術提案書(A、Bの2案)を公表しました。技術提案書とはつまり、すったもんだの末、白紙に戻った新国立競技場の新たな建設計画であり、総工費や工期、デザインなどが記載された応募業者のプランです。
もう多くのメディアで報じられていますし、JSCのHPでも閲覧できますので詳細はそちらに譲りますが、注目されたデザインの方向性はA案とB案、共通していると言っていいでしょう。ともに木材を多く使用し、和風建築に重きを置いています。A案は「法隆寺」、もうひとつのB案は「縄文文化・神社」からヒントを得たということです。
そして、コンセプトを表すコピーは両案とも『杜のスタジアム』。一時採用されながら撤回されたザハ氏の案が近未来的だったため、「ずいぶん方向転換したな」という印象を受ける方も多いと思いますし、和風のイメージだけになったため、選択する上で多様性に欠けるという指摘もあるでしょう。
ただ、これは偶然ではなく、JSCが事前に業者側に示した「求める技術提案書」に「日本らしさに配慮した計画」という項目があったため、応募者がデザインを考えるとき、日本の伝統文化を意識せざるを得ず、必然として木材の使用に行き着いたものと思われます。
A案かB案か。昭和40年男の美意識はどちらに軍配をあげるでしょうか。個人的には正直、和風以外の“C案”も見たいです。日本は海外からハイテクの国としても見られているわけですから、先進的なデザインも考慮してほしかったところです。
まあ、二者択一に決まった以上、あとは国民の意見もどこかで吸い上げて決断してほしいと思います。
前回の東京五輪は、昭和40年男が生まれる前年に開催されました。“鼻先”で見逃してしまっただけに、我々世代が2020年を楽しみに思う気持ちは人一倍であり、大会の成功を祈る気持ちも強くあります。エンブレムも国立もドタバタしましたが、早く良い形で決着してほしいものです。