11月に行われたフィギュアスケートのグランプリシリーズ・NHK杯で世界歴代最高得点となる322・40点(ショートプログラム+フリー)をマークした羽生結弦選手。その異次元の滑りを披露してから、わずか2週間。グランプリファイナル(10~13日 スペイン・バルセロナ)に出場した同選手は330・43点をたたき出し、自らが持つその世界記録を更新しました。そもそも300点台の領域に足を踏み入れているのは、世界で羽生選手ただ1人。まさに敵なし、というところですが、重圧が常にかかるなか、自分自身との戦いに打ち勝ち、得点を伸ばしていく姿には感動を覚えます。
しかも、10日のショートプログラムでは演技終了後、鳴り止まぬ歓声に対して人差し指を口にあてる仕草を見せ、次に滑る選手のために静寂を求めました。興奮状態にあるはずの演技直後に、そんなことができるなんて…。1人の人間として尊敬せずにはいられません。
羽生選手は現在21歳。昭和40年男からすれば、息子や娘と同じほどの年齢(もっと下かもしれません)ですが、そういう若者たちからも色々と学ぶことができるのが、スポーツの良いところでしょう。彼らは実際のプレーに加えて、コメントも示唆に富んでいますから、年代を問わず、生きる上でのヒントがつまっている気がします。
そういう意味では、今回まさかの最下位に沈んだ浅田真央選手の今後にも注目です。何をどう克服し、また表彰台に上ってくれるのか。その過程を見届けることで、我々も得るものがあるのではないでしょうか。