米誌タイムは先日、2015年の『今年の人(PERSON OF THE YEAR)』にドイツのメルケル首相を選出しました。『今年の人』はタイム誌が、その年に世界でもっとも影響力を発揮したとみなされる人物を選んでいるわけですが、1927年に始まって以来、女性が選出されたのは今回のメルケル首相でまだ4人目だそうです。
メルケル首相が選ばれた理由は、経済大国・ドイツを10年にわたり指導してきた実績はもちろん、ギリシャの財政危機や難民危機など欧州が抱える大きな問題に対応する上で、リーダーシップを発揮した点が評価されたようです。
「ほとんどの政治家があえて求めたりしないことを自国に求め、独裁やご都合主義に断固として立ち向かい、世界で不足している不動の道徳的リーダーシップを発揮した」と、タイム誌のナンシー・ギブス編集長はコメントし、メルケル首相をたたえました。
特に異論はありませんし、ほかに適当な人が見当たらないとも感じますが、皆さんはどうでしょうか。しかし、1位以上に気になるのは2位(複数名選出)に入った名前です。イスラム国の指導者、バグダディ容疑者。確かに世界に影響を与えたという点では、メルケル首相をも上回っているかもしれません。日本人も拘束され、彼らの手にかけられましたので、忘れることのできない名前です。来年以降、このイスラム国はどうなるのか、そしてテロは続くのか…。不安や恐怖は世界に広がっており、日本にとってももはや他人事ではありません。とにかく、今思うことはひとつで、来年の『今年の人』には平和を推進した人物が選ばれてほしいし、そういう世の中であってほしい、ということだけです。
ちなみに、昭和40年(1965年)の『今年の人』は、ウィリアム・ウェストモーランド氏。ベトナム戦争を指揮した陸軍参謀総長らしいです。不勉強な私は存じ上げませんが、ベトナム戦争という文字が出るあたり、時代背景を推察できますね。また、我々世代が大学を卒業するころの1988年には『人』ではなく、『危機にある地球』が選ばれています。あれから27年ほど経っていますが、温暖化が進むなど危機はむしろ加速しているような気がします。恥ずかしながら、私はそんなに前から警鐘が鳴らされていたとは知りませんでした。自分には何ができるのか…。遅まきながら、未来を生きる子供たちのためにも考えてみたいと思います。