「今年1年でホントいい顔になったなあ」と、上から目線なセリフで楽しい時間はスタートした。一昨年はスポットで、去年と今年はレギュラーでイベントでのトークショーを展開したカワサキのエースライダー、渡辺一樹選手が年末の挨拶に来てくれた。今年1年を振り返って様々な会話を楽しみ、その後は編集部員を交えてウチの雑誌で連載企画の模索をして、お楽しみの食事はとっておきの寿司屋へと連れ出した。酒が呑めない彼なのに、焼酎をガブガブ呑るおっさんに真剣に付き合ってくれた。
僕は寿司屋の親父さんに「日本で3番目に速いライダーです」と紹介した。国内バイクレースの最高峰であるJSB1000クラスで、年間ランキング3位でシーズンを終えたのだ。もちろんもっと上を狙っていた彼だが、ひとまずホッとできる成績である。
25歳だから僕の人生のちょうど半分だ。そのわりにしっかりしているのは、日本の最高峰で戦うためにスキルだけでなく精神も鍛え抜いているからだ。25歳当時の僕と会わせたら、そのバカっぷりでお付き合いいただけないだろうな。年齢というのはありがたいこっちゃ(笑)。
まだ若いが、レーサーとしては来年が大きな正念場になる。世界へ出て行きたいのは国内の一線で戦っていたら当然のことだ。そのラインへと今年の成績は繋げることができた。来年チャンピオンを決めれば、世界はググッと近づく。それがもし、今年よりも下の成績になると大きく遠ざかってしまう、25歳とはそんなタイミングなのだ。残酷なようだが、シビアな世界での来年はとてつもなく大きい。本人もそれは十分すぎるほどわかっている。
だが、今年のチャンピオンはライダー、マシンともに別次元にいるほど強い。そびえる高い壁ではあるが、そんなところに意識を持っていかないようにとおっさんは言った。もっともっと上を見ようぜと。その資質が十分にあるからこそ強く言い続けた。僕は親父さんに「来年の今頃、チャンピオンになってまた一緒に来ます」と店を出た。来年も冒頭のセリフが言えるように、精一杯の応援をしていきたい。もうすでに、来年の暮れが楽しみになってきた。
そういえば北村さん推しの、もう一人のハーフエイジライダーはヤマハへ移っちゃいましたねぇ。
三原選手も移籍した事で一皮むけるとよいなぁ(^^)
そうですね。ca-niさんのおっしゃる通りで、この移籍が彼の人生にとって大きなプラスになることを願ってます。