痛恨のミスだった。昨日も書いたライブでのことだ。ラストナンバーとなったバラード『花』でのことだ。ギターソロを16小節もらって、久しぶりに作り込んだ。ブルースに狂って以来、ギターでソロを弾くのは即興になった。その日の流れと心をバッチリと表現することだけを目指して弾きまくる。プロミュージシャンたちのソロを真似て練習して自分の中にぶち込み、即興プレイの根っこにすることを日々繰り返している。大まかな流れを作ることはあっても、1音残らずフレーズすべてを作り込んだのはおそらく30年以上ない。
この歳になると、それまでの自分と違うことをやることが億劫になりがちだ。だが逆にそこを超えていくことで、この歳だからこその大きな成長ができる。そう毎日自分に言い聞かせるようになったのはいつからか。我ながらいい傾向だと思っている。このソロもスタジオの初回練習では即興で弾いた。「うんうん、大人になったな」なんて、そこそこの満足を得ていたのだが、ふと最近のマイブーム(死語!?)がムクムクと頭をもたげた。そして取り組んでみると高校生の頃の自分と出会った気分で、懐かしくそしておもしろい。となると、最高の組み立てを目指して何度も何度も修正を加えていく。できるだけ自分らしく。そしてお客さんにわかりやすく。さらに楽曲の1つのセクションとして確立させる。などなどを目指して完成したのは最終のスタジオ練習の前日だった。「うん、素晴らしいね」と自画自賛。極々細かな修正を加えて本番に臨んだ。
が、ミスった。あんなに練習したのによりによって出だしでミスった。すると16小節なんてあっという間で、修正できないまま即興を交えながらのソロとなってしまった。引きずってしまい、その後のプレイもまったくダメで、精彩を欠くとはこうした演奏のことを言う。エンディング後の大きな拍手もまったくうれしくない。自分以外に送られているものだと思うほど惨めだった。そしてこうなると、それ以前のプレイまでも疑っていく始末だ、トホホ。
せっかくのトライが失敗に終ってしまった。練習不足だったのだ。舐めていたのだ。これからの人生に活かさないとなんて猛省した。失敗を恐れちゃいけないなんて言うが、それは若者の特権だ。50歳はそんな年じゃねえっ!! と、自分に言い聞かせている今日である。