外食の想い出にひたる昭和40年男。

IMG_2447昭和40年男にとって外食は一大イベントだったはず。俺たちの幼少時は、現在とはずいぶんと異なる外食事情だった。マクドナルドやファミレスがごく自然に街に存在するようになり、気軽に楽しめるようになったのは、もうずいぶん大きくなってからのことだ。デパートのレストランは憧れで緊張すらした。街のラーメン屋でさえ、それはそれはありがたくいただいたものだ。

僕は東京下町の電器屋で育った。そのせいで、氏神様とは別に商売繁昌専門(!?)のお参りのため、浅草の神社へも出かけることがあった。歩いて30分ほどの浅草寺まで出向き、その隣にある被官稲荷神社で手を合わせる。両親と弟の4人で出かけていき、お参りが終わると楽しみなのが外食だ。浅草といえば天ぷらで、明治から今も続く『大黒屋』に連れて行ってもらえたから、商売繁昌を祈るのが僕ら兄弟は大好きだった。大好物の天丼がテーブルに運ばれてきてふたを開ける瞬間は、今思い出しても幸福感に包まれる。

先日、浅草での打ち合わせがあり、久しぶりにいただこうかと向かった。初めてここに連れてきてもらったのは40年以上も前のことで、想い出を噛み締めながら近づいていくと、昔と変わらずずいぶん手前からごま油のいい香りが漂ってきた。小学生だった頃とシンクロしていく気分を味わいながら店の前に着くと、建物も昔の雰囲気のままで歓喜した。が、まだ正午前というのにすでに50人以上が行列をつくっていて、とてもじゃないが並ぶ気にはなれず、こうして写真を撮るに留めたのだった。まっ、次の機会まで想い出はとっておこう。想い出の味ってのは記憶の中でどんどん美味へと昇華していくというから、むしろ食べなくて良かったのかもしれない。

ともかく楽しい時間旅行になったが想い出じゃ腹はふくれず、そばをすすって次の現場に向かったのだった。もちろん天ぷらを付けた(笑)。

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2件のコメント

  1. ちなみに大黒屋さんの隣の洋品店の息子は、高校の同級生です。

    • けげっ、そうですか。その同級生は、きっとごま油の香りがするでしょうね(笑)。

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