今日の取材はマリーンさんのインタビューだった。昭和40年男にとっては
なじみ深いシンガーではないだろうか。3月23日にリリースするニューアルバムの
話を中心に構成するページの取材である。というのも、今回のアルバムが
彼女自身が歌い上げた80年代の名曲をセルフカバーを中心とするというもので、
僕たち世代には興味深いところではないか。しかもかなりの気合いの入った
サポートを受けての作品である。T-スクエアの安藤氏によるプロデュースで、
バックを固めるメンバーにもT-スクエアやカシオペアの面々が名を連ねている。
おおーっ、懐かしいよね、フュージョンブームの切り込み隊長たちだね。
70年代の後半から音楽のジャンルは飛躍的に増えていった。彼らのような
フュージョン系のバンドもメキメキと頭角を現していったころだ。演奏力も
歌唱力もどんどんレベルアップし始めたころで、なんとも華やかな音楽
シーンだった。マリーンさんも実力派シンガーとしてヒットをバンバン飛ばして
いったころ。そんな時代を今の時代にリメイクするという野心作である。
ちなみに、撮影に加納典明、スタイリングプロデューサーにドン小西というのも
おもしろい。
「お待たせしましたー」
うわ、小っちゃ!! どっからあの迫力ボイスが出てくるんじゃと思うほど小さく、
そして顔が小さいねぇ。とても50を過ぎているとは思えない可愛さで、いきなり
握手を求められ幸せ気分いっぱいでインタビューがスタートした。とてもポジティブな
人で、ああ歌で生きる人ってこういうことなんだなと納得させられる言葉が次々と
飛び出す。昭和40年男たちへは「あきらめないで」と何度も繰り返した。自身も、
もう一度武道館のステージに上がるとも宣言していたよ。夢を信じて進んでいくと、
その道をサポートしてくれる人が必ずあらわれると。うんうん、力が出る言葉の
数々でした。
事前資料としていただいていたアルバムを聴いたけど、この作品スゴイですわ。
まずね、サウンドがすばらしい。高い演奏力はいうまでもないが、音のツブが
際立っていて、またそれらをクリアーな音で封じ込めている。ギュッと潰して
音圧で押してくるような音に対して「どうだ!!」とでも言いたげなほど、空気感の
ある上質な音が惜しみなく投げ込まれてくる感じ。そこに彼女の相変わらず
見事な歌が乗っている。いやあ、表情力豊かであたたかみもまとっている。
確実に進化していますねと、そんな話をしたら涙を浮かべて喜ぶのだ。
なんだかさ、あれだけ活躍した30年以上現役でいられるシンガーがこんなに
ピュアでいいのかってほど、ナチュラルな人柄ですっかりファンになってしまい
ました。家庭や子育ての話も止まらない止まらない。2時間に及んだ取材で、
音楽の話はたぶん30分程度だったと思う。
それにしても、歌は人なりですな。再確認した彼女に、文は人なりと自分に
言い聞かせたのでした。