もう何度来たことだろう。昨日より兵庫県の西明石を中心にして、関西を巡っている。仕事とはいえ新幹線に乗り込むのは今も飽きることなく、ワクワクしてしまうバカモノである。パソコンを持ち歩けるからまるで移動中もオフィスにいるようだが、ひとたび車窓に目を移せばさまざまな表情の景色を楽しめる。その瞬間、旅の気分を味わえる。
もっとも優れた旅の移動手段は、なんといっても徒歩である。最近の読者さんはご存知ないかもしれないが『昭和40年男』ではかつて東海道53次の旅を連載でお届けしたことがある。東京から京都までを歩き続けた。忙しい日々からなんとか2~3日のロケ日を捻出してひたすら西へと歩き、そのロケでの終了地点を次回の起点として連載を続けたのである。将来、仕事抜きで歩きたいと夢描いているほど、その道中は素晴らしかった。出会いや歴史、国越えによって風景や文化の違いを感じられるのは徒歩旅の醍醐味だ。地図を眺めながら寄り道をして、自分の足で目的地まで進んでいくのは究極の旅である。が、1つだけ欠点を上げれば当然ながら目的地まで時間がかかることだ。
そこでバイクがいい。じっくり味わうという意味では徒歩に劣るが、移りゆく景色や風を感じながら自ら進んでいく感じは徒歩に近い。操る楽しみも加わりバイク旅を愛する同世代は多い。マーケットとしてはあまりよろしくない傾向だが、原チャリを抜いたバイクの新車購入の平均年齢は51歳とのデータがある。このほとんどが旅を楽しんでいるはずで、我々世代がもっともバイク旅を求めていると言える。まだまだ元気でありながら、心のひだが深くなってきたからこそ旅から得るものが多い。20代では知ることが出来なかったことをドンドン吸収できる。孤独なのも男心をくすぐり続けるから、よけいおっさんにはたまらない。
電車はバイクと違い、の〜んびりとした気分を味わえるのがいい。駅弁と車窓をつまみにビールなんて最高のごちそうである。バイクもいいがこれもまたよい。出張でない電車旅がしたいななんて、日本中を動いているのに贅沢な話だとはわかっている。欲深いなと思いつつ、パソコンを持たずに電車に乗りたいと願ってしまう今日は少々疲れ気味かな。