大雪で延期となった “徒歩の旅” が、昨日から始まった。事の発端は前号 (vol.5) の特集
「呑んべえ万歳」で掲載した、最高の一杯を求めるというテーマの旅である。
もともとは編集金子からの提案で始まったこの旅は、東海道を徒歩で京都まで
歩こうというもので、弥次喜多のようなおバカな旅を目指そうというものだった。
が、実はこの企画、僕の編集長人生で初のトライだ (って、それほどのことか?) 。
と言うのも、これまで特集から派生して連載になるというパターンはよくあった。
好きな手法でもある。今回、初のトライになったのは、逆のパターンという意味だ。
連載でやることになった企画を、特集の中にねじ込んだのである。前号の
感動的 (!?) な箱根芦ノ湖のゴールは、そんな魂胆があったことなど微塵も
感じさせないだろうが、深いなあ俺ったら (爆) 。つうことでね、連載で綴る
日本橋から京都への東海道の旅が、あらためて昨日から始まったのだ (パチパチ) 。
歩いているといろんなことを考える。そして行きついた、僕にとって旅ってなんじゃ?
45歳の自分をちょっくら整理してみようかなと、金子とのバカ話の合間に考えた。
みなさんも “旅” ってやつにはそれぞれの深い思いがあることでしょうね。僕が旅と
呼べる行動に初めて出たのは、自転車に乗れるようになって数年経ち、地図に
触れた瞬間からだった気がする。正確に言えば、地図を見ながら頭の中でトレース
した瞬間と言えばいいのかな。なんと住宅地図である。ウチは電気屋を営んで
いたから、地元の詳細に記載された営業ツールとも言える地図があった。
何がキッカケだったか、鉛筆でトレースを始めたのだ。この学校へ向かう道を通って、
公園を越えるとそこには…と、世界が無限に広がっていく気がした。男の子はその
無限を夢見て、その住宅地図を持ち出して走り出した。地図に広がったまだ見ぬ
地へと、ただひたすらにペダルを漕いだ日が、初めての一人旅の日が、まるで昨日の
ようだよ。地図のとおりに道を行くと、記されたとおりの場所にたどり着く。
知らなかった公園だったり、大きな空き地だったり。男の子の冒険心をたっぷりと
刺激され、以後地図を持ち出しては旅に出た。だんだんと地図の範囲が大きいものに
なっていった。埼玉県の岩槻市にあった叔父の家や、高尾山への日帰り旅&登山
なんてのもやった。何本ものチャリンコ旅を仲間と、ときには一人で出かけたのだ。
高校生になると、若干のバイト代を手にして、電車を使っての旅へと変わっていった。
高校を卒業した時に初めて宿泊での一人旅をした。これも昨日のことのように覚えて
いて、卒業ライブで使うギターを2本持って出かけた。箱根の民宿に泊まり一丁前に
晩酌なんかして、さらに一人の部屋で呑みながらギターを磨いたのだ。これからコイツと
ずっと生きていくために。もう学生じゃないから、社会で生きていくのだからとの決意を
込めて磨いた。その箱根が昨日のスタートだったことも、こんな駄文を綴っている原因
かもしれない。ちょっと長くなりそうなんで、続くよーん。