クーラーが苦手で、この時期は窓を開けっ放しにして寝る我が家だ。物音などで目が覚めるやわな男じゃないぜと夜な夜な全開を決め込んでいるのだが、一昨日は風が強くて就寝後わずかな時間で目が覚めてしまった。眠りの達人だからすぐにリカバリーと思ったところ、僕としては極めて珍しいことに眠れない。時刻はまだ午前2時を過ぎたばかりでわずかな睡眠だ。ここのところ尋常でないハードワークで身も心も疲れ切っているはずなのにどうしたものかとベッドの上でグダグダしていると、次々とネガティブな自分が出てきた。昨今の取引先の倒産の行方、週末の大仕事、山積した仕事なんて身近なものから始まり、息子の将来、実家に1人で残したお袋、会社のことなどなどヘビーなものへと発展していく。ものすごく多岐に渡り考えてしまい、過去の失敗や大恥なんかといったしょうもないものまで出てくる。ここまでネガティブなお前は珍しいものだとからかってみるが、なかなか強敵だった。
真っすぐ、元気、明朗、誠実…etc. そんな前向きな発想がまったく出て来ない。ただひたすらにネガティブに浸ったのは、よほど疲れているのだろうと慰めながら受け入れて、ただ目を閉じてやり過ごした。マラソンの雑誌のQ&A企画で、大会前夜に眠れないことがあるとの問いに、目を閉じて体を横にしているだけでも十分に体は休まるとのアンサーを読んだことがあり、それに従った。
長い。とてつもなく長い。時折どうしても時計を見てしまうのだが毎度30分程度しか進まない。眠れないなんて経験はそうそうない、楽天家のバカモノだ。こうなったら得意の歌でごまかそうとした。泉谷しげるさんのそのままズバリ『眠れない夜』や中島みゆきさんの『悪女』、柳ジョージさんの大名曲『プリズナー』なんてのを引っ張り出しては頭の中で再生機を回す。『プリズナー』なんてかえって深く考えさせられてしまった。しかし、奇跡の逆転があり僕はネガティブ北村を退治できたのだ。
ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの『身も心も』を引っ張り出したところ、突然我が家の猫が夜泣きをした。犬の遠吠え~で始まる曲を、猫の近泣き〜で台無しにした絶妙のギャグに笑い、弱気になっている自分を軽くしてくれた。真っ暗闇でも笑いがあると人を救うのかなんて、ここからは哲学北村に変身してアレコレ考えながら起床予定の時刻まで目を閉じて過ごしたのだった。雑誌のQ&Aのとおりに、ひどい寝不足とは感じさせず美味しく朝食をいただき、毎朝の軽い体操にも元気に出かけたのだった。
それにしても、これまでの人生で記憶にないような夜を過ごさせたのはなんだったのだろう。50歳の壁越えに震えている自分に対して、前向きに進もうとする自分が突っ張っている。お陽様を浴びているときや仕事に励んでいる時は前向きの自分が圧倒的に勝つのだが、眠れない真っ暗闇が震えている自分を強く招いてしまったのかもしれない。半世紀の人生ってヤツはいろんなもんを連れてくるものだと、快眠で過ごした今朝はカラッと笑っている。
ほぼ何秒かで寝付く私ですが、変な時間に起きて寝付けないと全く一緒です(>__<)
朝起きて会社に向かう途中で、なんで悩んでたんだに変わりますが(^^;
夜とはそういうものなのかも?
夜の闇ってのはそういうことなんですよね。だから寝てやり過ごす(笑)。
私は15年くらい前から本格的な不眠症で、就寝時間一日3時間以下の日が多いです。それは海外駐在しても変わらずというか、エスカレートしています。睡眠時間と人間の寿命には深い関係があるとか。でもよくよく考えれば、短命な不眠症者と長寿の良く眠る人とは、起きている(頭を意識的に使っている)時間は同じなのかもですね(笑)。ちなみに、巻き舌で歌う「身も心も」は、今の私のカラオケお会計ソングの定番です。(^0^)〜♪
B太さんありがとうございます。不眠症ではありませんが、僕も仕事柄かなりショートスリーパーですよ。生きている時間がどれだけあるかということで考えると、まったく同感です。