さあさお立ち会い。連載企画である『ガツンとひと言、兄貴の説教』に
木村充揮さんが登場することになった。うっうっうっうれし〜いのである。
これまでも錚々(そうそう)たるメンバーで飾り、自分のとこの雑誌ながら
毎号喜々としている僕だが、今回も最高だね。ただ、これまでにご登場
いただいた方々の中では知る人ぞ知るという存在かもしれない。
だが、好きな人はとことん愛している方だろう。もちろん僕もその1人だ。
ゲゲゲの鬼太郎の96年からのシリーズで、テーマ曲を歌ったのを
記憶している方は多いかな。♪ゲッゲッゲゲゲノゲ〜♪を、すばらしく
個性的に歌い上げたのが木村さんだ。
今は活動していないけれど、バンド『憂歌団』といったら日本の音楽シーンに
おいてきわめて重要な存在だろう。影響を受けたミュージシャンもすごく多い
だろうし。初めて聴いたときになんて美しい声なんだろうと、ブルースに期待
してしまう野太いしゃがれ声との差異に少々戸惑ったほどだ。RCサクセションの
キヨシローの声と一緒で、ちょっと慣れるのに時間がかかった。やがてその声に
惚れ込んでしまい、強烈に引き寄せられるという意味では、この2人は
僕にとって似た存在だな。『憂歌団』は活動が静かというかマイペースというか、
なんだか申し訳ない話ですが必死に新譜やライヴを追いかけなくていい存在
だった。だから所有している作品は少ない。存在していてくれることが僕に
とって宝なんだという感覚で、どうしているかなって『ぴあ』を見て、たまたま
新譜がリリースされていたり、近くでライヴやっていると行く。そんな憂歌団らしい
つき合い方を、ファンとしても楽しんでいたような気がする。
ギタリスト内田勘太郎さんの音との絡みは、とくにライヴで体験すると
もうこの世のものじゃないっす。こんなスゲーコンビって奇跡だよなと、
いつ行っても涙ものだった。現在は近藤房之助さんとのユニットである
クレイジードッグスでも活動中とのことだが、ちょっと前には有山淳二さん
(やはり上田正樹さんと奇跡のコンビだったギタリスト)とアルバムを
出していたな。このタイトルが『木村くんと有山くん』で、ユニット名も
これだから笑わせる。70年代中盤からボロボロ出てきた関西ブルース
ムーブメントの方々って、なんだかその後の音楽シーンに背を向けつつも
どっこい否定もしない。ブルースこてこてだった上田正樹さんが
『悲しい色やね』みたいなAORナンバーを出しちゃうのだから。
あんな歌謡曲シンガーとやってられるかとも言わず、有山さんは
また一緒にブルースアルバム出したりね。肩に力が入っていない、
とらわれない自由な人たちなんですな。
そんな関西ブルースマンの雄、木村さんのマイペース具合を
インタビューで掘り出せたらいいな。楽しみだなあ。泣くかもしれない(笑)。