「巳年なんですか? ワタシのお父さんと一緒です」とは、昨日のイベントで初めてご一緒したMC担当のカワイイ女の子の言葉だ。「ステージではお父さんと呼んでいいですか?」と続けられ、内心傷つきながらも「いいんじゃない」と返すおっさんだった。そしてステージイベントでは何度も「お父さん」と呼ばれ、そのたびにハートブレイクさっ。会社にも息子より年下の者がけっこう増えてきたし、そう呼ばれても当然といえば当然であるが、「おっさん」と言われるよりもずっとずっと強く響き渡ったのだった(泣)。
てなわけで、昨日は静岡県の御前崎でバイクイベントがあり、盛りだくさんの中にトークショーが2本プログラムされていた。カワサキの看板を背負って、そして命を賭けて戦うプロライダーがゲストとして駆けつけてくれた。ロードとモトクロスの日本最高峰クラスでチャンピオンを目指して奮闘中の若者たちだ。
モトクロスの三原拓也さんは現在10戦中3戦を終えてランキングは8位。開幕戦で大きなミスをしてしまったものの、その後持ち直して表彰台にも登った。僕の見立ててでは5本の指に入る実力は十分にあり、トラブルやミスをいかに減らすかでさらに上を目指すことが出来るライダーだ。
一方、ロードの渡辺一樹さんは一昨年にカワサキと契約して、僕はその年からトークショーを通じて仲良くさせてもらっている。去年は悔しい結果に終ったシーズンだったが、今年は現在2戦を消化してランキングが2位とこれまでとまったく異なる活躍ぶりだ。今シーズンはチャンピオンを狙える実力まで登りつめたように見え、3年目のつきあいになる僕にとってはそれこそお父さんのようにうれしい。マシンに若干の不利が見て取れるホンダをのぞいて、スズキとヤマハのそれぞれのエースと三つ巴対決のシーズンになりそうで、ここ近年の全日本ロードレースに見られない緊張感がある。興味がある方はぜひ注目してほしい。そしてこのスリリングな展開は夏の祭典『鈴鹿8耐』でも同様だろうから、ぜひ足を運んでいただき、ついでにカワサキのステージイベントで奮闘する僕も応援してあげよう(笑)。
驚いてしまうのは、2人とも24歳なのだが、彼らの歳を足しても僕の年齢に届かないという事実だ。そりゃあお父さんと呼ばれても仕方ないが、せめて気持ちだけは彼らの同僚でいたいと思う。イベントに集まってくれたお客さんのためにおもしろいトークにしようとすればするほど、若者たちと本気で向き合うことになる。「今どきの若いヤツは」なんて言葉は彼らには微塵も当てはまらず、真剣なトークの度におっさんは刺激を受けて自らの殻を破ろうとする気持ちを新たにできる。そのありがたさにから考えればお父さんと呼ばれたって…、やっぱりイヤだな(泣)。