昨日のホンダジェットに続いて、今日も記者会見があった。同じくホンダからの招集で出かけてきたのは、青山にある本社だ。1Fがショールームになっていて、こうした記者会見がある日はイスが並んで会場に早変わりする。普段はアシモくんのパフォーマンスが行なわれているステージが、そのまま主役たちのひな壇になるのだ。
今日は珍しい発表会だった。新車や人事、レースといった普段の発表とは異なり、明日からテレビで流すCMのお披露目だったのだ。その主役に抜擢されたのがゴールデンボンバーとあって、普段のホンダの発表会とはちょっと異なる雰囲気の芸能関連やテレビバラエティの記者が多かった。さすがの芸能人でテレビカメラも多く入っていたから、昨日に続き電波にはたくさん乗るのではなかろうか。情報バラエティあたりがきっと主戦場になるだろうから、昭和40年男たちの目にはあまり触れないかもしれない。
ターゲットは大学生とのこと。キーワードは「原チャであそびつくせ」となっていて、メーカーが「原チャ」という言葉でコミュニケーションするのは初めてだと思われる。長年二輪に関わる仲のよいジャーナリストも少々驚いていた。
記者会見の冒頭ではホンダの二輪事業本部長より挨拶があり、このCMを作った背景の説明となった。政府がブチあげた国家成長戦略の中で、経産省が二輪市場に着目した。その経産省が旗ふりをしながら業界団体や地方自治体が一体となり、『二輪産業政策ロードマップ』なるものが書かれたのだ。これには、現在国内販売40万台強の新車販売台数を100万台にするとの目標があり、ホンダとしてはそこへと向かっていくためには若者の攻略を鍵として、入り口になる原チャに乗ってもらうことが重要だからと、このCMの制作とオンエアーに踏み切った。と、そんな内要だった。
だが根本には大きな問題が寝そべっている。法制度上では時速30㎞しか出せないつまらない乗り物に、若者が10万円以上出すだろうか。公道では明確な規制のないチャリンコより遅い。ここを解決することがもっとも市場の活性化に繋がるのだが、残念がらアベノミクスを叫んでいるご本人には問題だと届かない。首相に届いてこそ実現可能な法改正であり、原チャリにまつわる厳しすぎる規制は生活の中での価値を極端に低くしている。規制による経済への悪影響以外のなにものでもないのだが、こんなカンタンなことが届かないのだ。コミットできない自分の無力さを噛み締めながら、記者会見会場で一生懸命に原チャをアピールしてくれているゴールデンボンバーを眺めていた。悔しさばかりの記者会見だった。