第22話 三味線の響き。

焼き豚屋での打ち合わせ通り、
7月29日に自分色に生きるの取材に出かけた。
インタビュアーは編集部員の小笠原だ。
さすがに高校時代の同級生をインタビューするのはつらいので、
ヤツに頼んだのだ。

「やります」
ひとつ返事で引き受けたヤツは、
今回の創刊ではかなり重要な位置にいる。
頼りにしてまっせ!
と、このコーナーでヨイショしてどうすんだ。

つうことで出かけた小さなライブハウスの控え室で、
インタビューは始まった。
詳細は創刊のお楽しみとするが、
この三味線男がおもしろいくらい江戸っ子なのである。
俺には痛いほどわかるのだが、
自分を飾る言葉をまったく持っていない。

この無骨な男から本質を引き出すのは、
若い小笠原は苦労しただろうが、
ものすごくいい経験になったと思う(たぶん)。

4時に現場入りして、
インタビューと撮影で10時過ぎまでかかった取材を終え、
居酒屋で小笠原の仕事ぶりをねぎらった。

「フォローするからいい原稿書こうな」
「はい、がんばります」

ビールを前にすればニコニコなヤツなのだ。

翌日、江戸っ子からメールが入った。
「俺は説明へたくそだ」と。
んなこたあ、始めからわかっとるわい。

塚原勝利氏

photo_Taeko Nakanishi

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