日本の工業デザインにおいて、その発展に大きく貢献したGKグループ会長の榮久庵憲司さんが一昨日亡くなったとの知らせが昨日入り、そして今朝、これを受け取った。
キッコーマンの卓上醤油瓶のデザインが象徴的に語られる。食卓にとけ込む滑らかなデザインと、液ダレしない、残量が見えるなどの使い勝手を見事に融合させている。同世代の諸氏にはなじみ深いものだろう。他にも身の回りにある様々なモノを手がけていて、僕にとってはヤマハのバイクのデザインを担当していることからよく知る存在だ。
去年の春には、イタリアのコンパッソ・ドーロ賞における国際功労賞を受賞した。コンパッソ・ドーロ賞とは、欧州で最も古くて影響力のある国際デザイン賞で、3年に1度、製品や製品システム、サービス、研究、調査などに対し、先進的で文化的な意識を持ったものに与えられる。若手賞、功労賞があり、国際功労賞はイタリア以外の人物や企業などに対し、デザイン文化の振興や提言に優れたものに授与されるものだ。
この受賞の記念講演と祝賀会に招待いただき、榮久庵さんのデザインに対する美しい心を知ることができた。去年の9月のことだった。車いすには乗っていらしたが、長時間の講演は素晴らしく、こんな日が来ることはまったく想像できないほどお元気だった。
心に残ったいくつもの言葉の中でも「人の心が美しくこもったモノが人に伝わる。人格こそが大切である」とはシンプルながら、彼から発せられることの意味や重さによって胸に深く突き刺さった。デザインを究極まで追い求めてきた人生によってこの説教とは、なんと感動的だろう。凡才ながら、少しでも近づけるように努力していくことを誓った素晴らしい日だった。
ありがとうございました。偉大な先輩への感謝の気持ちともに、ご冥福をお祈りします。
ヒロシマ出身の御仁でした。
Vmaxなどバイクのデザインもステキでした。
合掌。
ありがとうございます。
戦後広島の焼け野原を見た衝撃が、その後の人生を変えたそうです。