先日の出張時のこと。打ち合わせを済ませて新大阪から新幹線に乗るのがお昼時で、降りたらすぐにクライアントを訪ねるというタイトな進行だったため駅弁を物色した。出張が多いわりにはあまり世話にならないのは、各地元の名物料理を食べたいから。それとどうも駅弁てヤツはビールが呑みたくなる。我慢しながら食べているようで、超左党の僕には虚しい気持ちになってしまうからだ。今回の場合、次の訪問先では長時間の打ち合わせを要し、お腹を鳴らすわけにいかないからと、久しぶりの駅弁となったわけだ。
のぞいてみるとこれがすごい点数で、迷う迷う。どれもこれもきれいに盛りつけられていて、楽しくなってくる。と、同時にどれもビールが似合いそうだなと、やはり左党にはツライ選択を強いられる。そして選んだのは手まり寿司弁当で、ご覧のようにおつまみにも最適なパッケージだった(笑)。
ふたを開けた時には思わず感動した。この小さな箱にビッシリと、しかも乱れなくきれいに詰まっているじゃないの。いくらに添えられた小さなレモンとか、これは食の箱庭ですな。食べるのがもったいなくなるほどの美しさに思わずパチリとやった僕だ。
こうしたクオリティにごく自然に触れられることが日本のスゴさだ。海外に行って感動することはたくさんあり、その国独自の秀でた食や建築物などなどにうっとりすることはしばしばある。それが旅の醍醐味であり発見なのだが、日本は全体に行き届いているのが素晴らしい。どんなに美しい建造物にふれても、トイレが汚かったり土産ものにガッカリさせられたり。日本だって同じような場面がないわけでないが、僕が経験した海外と比較すると圧倒的に少ない。そして感心させられることがじつに多い。こんなきれいな弁当を、駅でごく自然と売っていることは驚異的だと思う。これからオリンピックに向けてますますこのクオリティは上がっていくことだろう。海外からのお客さんたちに、さり気なく感動を味わっていただくことは、大切なおもてなしだろう。
近所にある何十年も営業している寿司屋で、親父さんとおかみさんに最近よく言う。「お2人のクオリティを2020年にやってくる、世界中の人々に見せつけましょう」と。気付けば5年後にその祭りの開催が迫っているのだ。東京、そして日本の大プレゼンテーションに、ホンのわずかでもお役に立ちたいものである。